当院のばね指の手術について

ばね指とは?

ばね指(弾発指)とは、指を動かす腱と腱鞘(腱の通り道)が炎症を起こし、スムーズに曲げ伸ばしができなくなる状態を指します。主に指の付け根部分に痛みや違和感が生じ、悪化すると指が引っかかったり、伸ばすときに「カクン」と跳ねるような症状が出ます。さらに進行すると、指が完全に曲がったまま動かなくなることもあります。

ばね指の主な原因

  • 手の使いすぎ(長時間のパソコン作業、楽器演奏、家事など)
  • 加齢による腱や腱鞘の変性
  • ホルモンバランスの変化(特に妊娠・出産期や更年期の女性)
  • 糖尿病・リウマチなどの持病

ばね指の主な症状

  • 指の付け根に痛みや腫れがある
  • 指の動きがスムーズでなく、引っかかる感じがする
  • 指を曲げた後に伸ばしにくい(特に朝に症状が強い)
  • 悪化すると指が完全に曲がり、元に戻らなくなる

初期の段階では、安静・ストレッチ・湿布・装具療法・ステロイド注射などの保存療法が有効ですが、症状が進行すると手術が必要になることがあります。

ばね指手術とは?

ばね指の手術は、腱の動きを妨げている腱鞘を切開し、指の引っかかりを解消することを目的としています。通常、手術は局所麻酔で行われ、10〜15分ほどの短時間で完了し、日帰り手術が可能です。

手術の流れ

  1. 局所麻酔を実施(指の付け根部分)
  2. 小さな切開を行い、腱鞘を切開
  3. 腱の動きを確認し、スムーズに動くことを確認
  4. 傷口を縫合し、ガーゼで保護

術後はすぐに指を動かすことができ、約1〜2週間で日常生活に復帰できます。

手術には以下の2種類の方法があります。

  1. 従来のばね指手術(腱鞘切開術)
     → 1〜2cm程度の切開を行い、直接腱鞘を切開する方法
  2. 2mm切開ばね指手術(より低侵襲な手術方法)当院で行なってるもの
     → 最小限の切開で行う新しい手術法(後述)

ばね指手術が適応となる方

次のような症状が続く場合、手術を検討する必要があります。

指の引っかかりや痛みが強く、日常生活に支障をきたしている
保存療法(安静、湿布、ストレッチ、装具、ステロイド注射)を試しても改善しない
指が完全に曲がったまま伸びなくなっている(拘縮)
痛みが強く、特に朝のこわばりがひどい

保存療法で一定の改善が見られない場合、長期間放置すると腱や関節が固まり、手術をしても完全に回復しないケースもあります。そのため、早めの手術を検討することが重要です。

2mm切開ばね指手術とは?

2mm切開ばね指手術は、従来の手術と比べて傷口が小さく、回復が早い低侵襲手術です。最小限の切開で腱鞘を切開するため、従来の方法よりも患者さまの負担を軽減し、術後の回復がスムーズになります。

2mm切開ばね指手術の特徴

傷口が小さい(約2mm)ため、術後の痛みや腫れが少ない
局所麻酔で短時間(約10分)で終了する
出血がほとんどなく、縫合の必要がない
術後すぐに指を動かすことができる
傷跡が目立ちにくい

手術の流れ

  1. 局所麻酔を実施
  2. 2mmほどの小さな切開を行い、専用の器具で腱鞘を切開
  3. 腱の動きを確認し、引っかかりがなくなったことを確認
  4. 傷口を保護し、術後の注意点を説明

この手術方法は、特に早期のばね指や、軽度から中等度の症状に対して有効です。ただし、炎症が強い場合や腱の癒着がある場合は、従来の腱鞘切開術が必要になることもあります。

下記が当院で行う2mm切開ばね指手術の動画となります

手術後の経過とリハビリ

手術後は、指をスムーズに動かすためにリハビリやストレッチが必要です。特に従来の手術を受けた場合は、腫れや違和感がしばらく続くことがあるため、無理のない範囲で徐々に動かしていくことが重要です。

手術後の一般的な流れ

手術当日〜翌日:腫れや軽い痛みがあるが、指は少しずつ動かせる
1週間後:腫れが引き、日常生活の動作が楽になる
2〜3週間後:指の動きがスムーズになり、違和感が減少
1ヶ月後:ほぼ通常の動作が可能

手術後の回復を早めるために、医師や理学療法士の指導のもとでストレッチや運動を行うことが大切です。

料金

手術は局所麻酔で行い、手術時間は10〜20分程度です。 費用は3割負担の方で約6,000円、1割負担の方で約2,000円ほどです。 ※手術は健康保険の適応となります。

まとめ

ばね指は、指の腱と腱鞘の炎症が原因で発生する疾患で、初期は保存療法で改善することもありますが、症状が進行すると手術が必要になることがあります。

ばね指手術には、従来の腱鞘切開術と、皮膚をほとんど切らずに済む2mm切開ばね指手術があります。傷口が小さく、回復が早い2mm切開手術は、患者さまの負担を軽減できるため、近年注目されている手術法です。

手術は局所麻酔で短時間で終わり、日帰りで受けられるため、症状が悪化する前に検討することをおすすめします。

鶴橋整形外科クリニック