腱鞘炎の治療は整形外科へ!症状・原因・最新の治療法を解説

「腱鞘炎かも?」と思ったら、まずはこの記事を読んでみてください。手首や指の痛み、違和感…それ、腱鞘炎のサインかもしれません。放置すると日常生活に支障をきたすこともある腱鞘炎。この記事では、腱鞘炎のメカニズムから症状、原因、そして整形外科での具体的な治療法まで、網羅的に解説します。初期症状から重症化、最新のPRP療法やハイブリッド手術といった治療法、さらに効果的な予防法まで、詳しく知ることができます。腱鞘炎の治療に整形外科を選ぶメリットも明確にしているので、適切な医療機関選びの参考にも。この記事を読めば、腱鞘炎の正しい知識を身につけ、早期発見・早期治療に繋げ、痛みや不安から解放されるための第一歩を踏み出せます。

1. 腱鞘炎とは

腱鞘炎とは、文字通りとそれを包む腱鞘に炎症が生じる状態です。腱は筋肉と骨をつなぐ線維状の組織で、収縮することで関節を動かす役割を担っています。この腱を包み保護しているのが腱鞘と呼ばれるトンネル状の組織です。腱と腱鞘の間には滑液と呼ばれる潤滑油のような液体があり、腱がスムーズに動くようサポートしています。しかし、手首や指などの特定の部位を繰り返し使い続けると、腱と腱鞘の間で摩擦が生じ、炎症を引き起こします。これが腱鞘炎です。炎症が起きると、腱鞘が腫れて腱を締め付け、さらに動きを阻害するという悪循環に陥ります。結果として、痛みや腫れ、動きの制限といった症状が現れます。

1.1 腱鞘炎のメカニズム

腱鞘炎のメカニズムは、主に機械的刺激による炎症です。特定の動作を繰り返すことで、腱と腱鞘の間の摩擦が増加し、滑液の分泌が追いつかなくなります。これが炎症の引き金となり、腱鞘が腫脹し、腱の動きを制限します。さらに、炎症が慢性化すると、腱鞘が肥厚し、腱の滑りが悪くなり、症状が悪化していきます。また、加齢による腱や腱鞘の変性も腱鞘炎のメカニズムの一つです。加齢とともに腱や腱鞘の柔軟性が低下し、摩擦が生じやすくなります。さらに、血行不良も炎症を悪化させる要因となります。

1.2 腱鞘炎になりやすい人

腱鞘炎は、特定の動作を繰り返す人になりやすい傾向があります。例えば、パソコン作業を長時間行う人、ピアニスト、手芸をする人、スポーツ選手などです。また、妊娠中や産後の女性はホルモンバランスの変化により腱鞘炎になりやすいと言われています。さらに、糖尿病やリウマチなどの基礎疾患がある人も腱鞘炎のリスクが高くなります。その他、加齢も腱鞘炎の危険因子の一つです。

なりやすい人具体的な例
特定の動作を繰り返す人パソコン作業、ピアノ演奏、手芸、スポーツ(野球、テニス、バドミントンなど)
妊娠中や産後の女性ホルモンバランスの変化による影響
基礎疾患のある人糖尿病、リウマチなど
高齢者腱や腱鞘の老化による影響

2. 腱鞘炎の症状

腱鞘炎の症状は、炎症の進行度合いによって大きく異なり、初期、中期、重症化と段階的に悪化していきます。早期発見・早期治療が重要ですので、少しでも違和感を感じたら医療機関への受診を検討しましょう。

2.1 初期症状

初期症状では、患部に軽い痛みや違和感を感じます。具体的には以下のような症状が現れます。

  • 指や手首の動きの違和感:指を動かした時や、手首をひねった時に違和感を感じることがあります。
  • 朝方のこわばり:朝起きた時に指や手首がこわばり、スムーズに動かせないことがあります。しばらくすると動くようになることが多いです。
  • 患部の軽い腫れ:炎症によって患部が軽く腫れることがあります。見た目には分かりづらい場合もあります。
  • 動作時の痛み:特定の動作をした時に痛みを感じることがあります。例えば、物をつかむ、ドアノブを回す、パソコンのキーボードを打つなどの動作で痛みが出ることがあります。

2.2 中期症状

初期症状を放置すると、炎症が進行し中期症状へと移行します。痛みや腫れが強くなり、日常生活にも支障が出始めます。

  • 安静時にも痛みを感じる:初期症状では動作時に痛みを感じていましたが、中期になると安静時にも痛みを感じるようになります。
  • 腫れや熱感の増強:患部の腫れがより顕著になり、熱感も増します。触ると熱を持っているのが分かります。
  • 指の動きの制限:痛みと腫れによって指の動きが制限され、スムーズに動かせなくなります。日常生活での動作が困難になる場合もあります。
  • ばね指:指を曲げ伸ばしする際に、引っかかりを感じたり、カクンと音が鳴ったりする「ばね指」の症状が現れることがあります。

2.3 重症化すると

中期症状を放置すると、さらに症状が悪化し、重症化します。日常生活に大きな支障が出るだけでなく、後遺症が残る可能性も出てきます。

  • 激しい痛み:安静時でも激しい痛みを感じ、日常生活に支障をきたします。睡眠不足に陥る場合もあります。
  • 強い腫れと熱感:患部が強く腫れ上がり、熱感も強くなります。赤みを帯びることもあります。
  • 指の動きの著しい制限:指がほとんど動かせなくなり、日常生活に大きな支障が出ます。箸を使ったり、服のボタンを留めたりといった簡単な動作も困難になります。
  • 腱の断裂:最悪の場合、腱が断裂してしまうことがあります。腱が断裂すると手術が必要になる場合もあります。
段階症状
初期指や手首の動きの違和感、朝方のこわばり、患部の軽い腫れ、動作時の痛み
中期安静時にも痛みを感じる、腫れや熱感の増強、指の動きの制限、ばね指
重症激しい痛み、強い腫れと熱感、指の動きの著しい制限、腱の断裂

これらの症状はあくまでも一般的なものであり、個々の症状は異なる場合があります。少しでも気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。

3. 腱鞘炎の原因

腱鞘炎は、様々な要因が複雑に絡み合って発症します。大きく分けて「使いすぎ」「ホルモンバランスの変化」「その他の原因」の3つに分類できます。

3.1 使いすぎによるもの

腱鞘炎の最も一般的な原因は、手首や指などの特定の関節を繰り返し過度に使うことです。特に、同じ動作を長時間続けることで、腱と腱鞘が摩擦を起こし、炎症を引き起こします。

以下のような動作や作業が腱鞘炎の原因となる可能性があります。

動作・作業具体例
パソコン作業キーボードやマウスの操作
スマートフォン操作長時間の画面スクロールやタップ
楽器演奏ピアノ、ギター、バイオリンなど
手芸編み物、裁縫など
スポーツテニス、バドミントン、野球など
肉体労働工場作業、建設作業など

これらの動作は、手首や指に負担をかけるため、腱鞘炎のリスクを高めます。例えば、パソコン作業では、キーボードやマウスを操作する際に、手首が固定された状態で指を動かすため、腱鞘炎になりやすいです。また、スマートフォン操作においても、画面を長時間スクロールしたり、タップしたりすることで、指の腱鞘に負担がかかり、炎症を起こす可能性があります。楽器演奏や手芸、スポーツなども、特定の動きを繰り返すため、腱鞘炎の原因となることがあります。

3.2 ホルモンバランスの変化

女性ホルモンの変動は、腱や腱鞘の炎症を促進しやすく、腱鞘炎のリスクを高めます。特に、妊娠中や産後、更年期の女性は、ホルモンバランスが大きく変化するため、腱鞘炎になりやすいと言われています。また、経口避妊薬の使用もホルモンバランスに影響を与えるため、腱鞘炎のリスクを高める可能性があります。

3.3 その他の原因

使いすぎやホルモンバランスの変化以外にも、腱鞘炎を引き起こす原因はいくつかあります。

3.3.1 関節リウマチなどの疾患

関節リウマチなどの炎症性疾患は、腱鞘炎を含む様々な関節の症状を引き起こす可能性があります。関節リウマチは、免疫システムが自分の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患であり、関節の痛みや腫れ、こわばりなどの症状が現れます。関節リウマチによって腱鞘炎が起こる場合、複数の指に同時に症状が現れることが多いです。

3.3.2 糖尿病

糖尿病も腱鞘炎のリスクを高める要因の一つです。高血糖状態が続くと、血管や神経が損傷し、腱や腱鞘にも影響を及ぼす可能性があります。また、糖尿病は免疫機能を低下させるため、感染症のリスクも高まり、腱鞘炎が悪化する可能性があります。

3.3.3 手首の骨折や脱臼

過去の手首の骨折や脱臼などの外傷も、腱鞘炎の原因となることがあります。骨折や脱臼によって腱や腱鞘が損傷したり、関節の構造が変化したりすることで、腱鞘炎を発症しやすくなる可能性があります。また、骨折や脱臼後に適切なリハビリテーションを行わなかった場合も、腱鞘炎のリスクが高まります。

3.3.4 ガングリオン

ガングリオンは、関節や腱鞘にできる良性の腫瘤で、ゼリー状の物質が詰まった嚢胞です。ガングリオンが腱鞘付近に発生すると、腱の動きを妨げ、腱鞘炎を引き起こす可能性があります。

4. 整形外科での腱鞘炎の治療

整形外科では、腱鞘炎の症状や重症度に合わせて、様々な治療法を提供しています。適切な検査を行い、患者さんの状態に最適な治療計画を立てます。

4.1 整形外科でできる検査

腱鞘炎の診断には、まず問診で症状や発症時期、日常生活での動作などを詳しく聞きます。その後、触診で患部の腫れや圧痛、腱の動きなどを確認します。さらに、画像検査が必要な場合は、X線検査や超音波検査、MRI検査などを実施します。X線検査では骨の状態を確認し、骨折や他の疾患の有無を調べます。超音波検査では、腱や腱鞘の状態をリアルタイムで観察し、炎症の程度や腱の肥厚などを評価します。MRI検査は、より詳細な組織の状態を把握するために用いられます。これらの検査結果を総合的に判断し、正確な診断を行います。

4.2 保存療法

多くの腱鞘炎は、保存療法で改善します。保存療法には、薬物療法、装具療法、注射療法、リハビリテーションなどがあります。

4.2.1 薬物療法

痛みや炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬や外用薬が使用されます。痛みが強い場合は、鎮痛剤を併用することもあります。

4.2.2 装具療法

患部を安静にするために、サポーターやテーピングなどで患部を固定します。固定することで、腱や腱鞘への負担を軽減し、炎症の悪化を防ぎます。

4.2.3 注射療法

炎症を抑えるために、ステロイド注射を行う場合があります。ステロイド注射は、炎症を抑える効果が高いですが、腱を弱める可能性もあるため、頻回に行うことは避けられます。

4.2.4 リハビリテーション

痛みや炎症が軽減してきたら、リハビリテーションを開始します。ストレッチや筋力トレーニングを行い、関節の可動域を広げ、腱や筋肉の機能を回復させます。 手技療法や温熱療法なども効果的です。

4.3 手術療法

保存療法で効果がない場合や、腱鞘炎が重症化している場合は、手術療法が検討されます。手術では、狭窄した腱鞘を切開し、腱の動きをスムーズにすることで症状を改善します。内視鏡を用いた手術も増えており、傷口が小さく、術後の回復も早いというメリットがあります。

5. 最新の腱鞘炎治療

近年、新たな腱鞘炎治療として、PRP療法やハイブリッド手術などが注目されています。

5.1 PRP療法

PRP療法は、患者さん自身の血液から採取した多血小板血漿(PRP)を患部に注射する治療法です。PRPには、組織の修復を促進する成長因子が豊富に含まれており、腱や腱鞘の修復を促し、痛みを軽減する効果が期待されます。

5.2 ハイブリッド手術

ハイブリッド手術は、内視鏡手術と小切開手術を組み合わせた手術法です。内視鏡で患部を確認しながら、小切開で手術を行うため、正確で安全な手術が可能です。

6. 腱鞘炎の予防法

腱鞘炎を予防するためには、日常生活や仕事中の動作に気を付けることが重要です。

6.1 日常生活での予防

  • 同じ動作を長時間続けないようにする
  • 適切な休憩をとる
  • ストレッチで筋肉や腱を柔軟にする
  • 正しい姿勢を保つ

6.2 仕事中の予防

  • 作業環境を整える
  • 道具を適切に使用する
  • 休憩時間にはストレッチを行う

7. 腱鞘炎の治療で整形外科を選ぶメリット

整形外科は、運動器の疾患を専門的に扱う診療科です。腱鞘炎の原因を特定し、適切な治療を提供することができます。専門的な知識と技術を持つ医師が、患者さんの状態に合わせた最適な治療計画を立て、症状の改善を目指します。 また、リハビリテーション施設も併設している場合が多く、継続的なケアを受けることができます。

8. 最新の腱鞘炎治療

腱鞘炎の治療法は日々進歩しています。ここでは、近年注目されている最新の治療法をいくつかご紹介します。

8.1 PRP療法

PRP療法(多血小板血漿療法)は、患者さん自身の血液から採取した血小板を濃縮した血漿を患部に注射する治療法です。血小板には組織の修復を促進する成長因子が豊富に含まれており、炎症を抑え、損傷した腱や腱鞘の治癒を促します。従来の保存療法では効果が得られにくい慢性的な腱鞘炎にも有効とされています。

8.2 ハイブリッド手術

ハイブリッド手術は、内視鏡手術と小切開手術を組み合わせた治療法です。内視鏡を用いて患部を拡大視しながら、小切開で必要な部分だけを切開するため、手術による負担を軽減できます。また、術後の回復も早く、傷跡も小さくて済むというメリットがあります。

8.3 体外衝撃波治療

体外衝撃波治療は、体外から衝撃波を患部に照射する治療法です。衝撃波が腱や腱鞘に微細な損傷を与え、自己修復能力を活性化させることで、炎症を抑え、痛みを軽減します。手術を必要としないため、身体への負担が少ない治療法です。

8.4 超音波ガイド下注射

超音波ガイド下注射は、超音波画像を見ながら注射針を患部に正確に刺入する治療法です。薬剤を患部に確実に届けることができるため、治療効果を高めることができます。また、神経や血管を損傷するリスクを軽減できるというメリットもあります。

治療法メリットデメリット適応
PRP療法自己治癒力を高める、慢性腱鞘炎にも有効費用が高い、効果に個人差がある保存療法で効果がない場合、手術を避けたい場合
ハイブリッド手術傷が小さい、回復が早い、身体への負担が少ない費用が高い、入院が必要な場合がある重症例、保存療法で効果がない場合
体外衝撃波治療身体への負担が少ない、手術不要効果に個人差がある、即効性がない軽症~中等症、慢性腱鞘炎
超音波ガイド下注射薬剤を患部に確実に届ける、神経や血管損傷のリスク軽減費用がやや高い、熟練した医師の技術が必要ピンポイントで薬剤を届けたい場合、他の注射で効果がない場合

それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあり、適応も異なります。どの治療法が最適かは、腱鞘炎の症状や程度、患者さんの状態によって異なります。整形外科専門医に相談し、適切な治療法を選択することが重要です。

9. 腱鞘炎の予防法

腱鞘炎は、一度発症すると再発しやすい疾患です。そのため、日常生活や仕事の中で予防を意識することが重要です。ここでは、腱鞘炎の予防法について、日常生活と仕事中の場面に分けて詳しく解説します。

9.1 日常生活での予防

日常生活における腱鞘炎の予防は、以下の点に注意することで効果が期待できます。

9.1.1 手首の負担を軽減

日常生活の中で手首に負担がかかる動作を避けたり、負担を軽減する工夫をしましょう。

  • 重い荷物を持つ際は、両手で持つ、リュックサックを使用するなどして手首への負担を分散させましょう。
  • ドアノブや蛇口を回す際は、手首をひねらず、肘や体全体を使って開閉しましょう。
  • パソコンやスマートフォンを長時間使用する際は、こまめに休憩を取り、手首のストレッチを行いましょう。
  • 包丁を使う際は、手首を固定し、肘や肩を使って切るようにしましょう。

9.1.2 手首を温める

冷えは血行不良を招き、腱鞘炎を悪化させる可能性があります。特に冬場は、手袋やカイロなどで手首を温めましょう。

9.1.3 適切な休息

手首を酷使した後は、十分な休息を取り、炎症の悪化を防ぎましょう。睡眠不足も腱鞘炎の悪化要因となるため、質の良い睡眠を心がけてください。

予防策具体的な方法
手首の負担軽減重い荷物を持つときは両手を使う、リュックサックを使用する、ドアノブは手首をひねらずに開ける、パソコン作業時にはリストレストを使用する
手首を温める手袋やカイロを使用する、温湿布をする
適切な休息十分な睡眠時間を確保する、手首を酷使した後は休憩を取る

9.2 仕事中の予防

仕事で手首を酷使する人は、特に腱鞘炎になりやすいです。仕事中の予防策として、以下の点に注意しましょう。

9.2.1 作業姿勢の改善

デスクワークでは、キーボードとマウスの位置を調整し、手首が不自然な角度にならないようにしましょう。椅子や机の高さを調整することも重要です。正しい姿勢を保つことで、手首への負担を軽減できます。また、立ち仕事では、作業台の高さを調整し、手首に負担がかからない姿勢を維持しましょう。

9.2.2 休憩時間の確保とストレッチ

長時間同じ作業を続ける場合は、1時間に1回程度、5分~10分の休憩を取り、手首のストレッチや軽い運動を行いましょう。休憩時間には、手首を回したり、指を伸ばしたりするストレッチを行うことで、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進することができます。

9.2.3 補助具の使用

仕事内容によっては、手首をサポートするサポーターやテーピングなどの補助具を使用することで、手首への負担を軽減できます。適切な補助具を使用することで、手首の動きを制限し、炎症の悪化を防ぐことができます。

予防策具体的な方法
作業姿勢の改善キーボードとマウスの位置を調整する、椅子と机の高さを調整する、モニターの位置を調整する
休憩時間の確保とストレッチ1時間に1回程度休憩を取る、手首や指のストレッチを行う
補助具の使用サポーターやテーピングを使用する、リストレストを使用する

これらの予防策を参考に、腱鞘炎の予防に努めましょう。すでに腱鞘炎を発症している場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。自己判断で治療を行うと、症状が悪化する場合がありますので、注意が必要です。

10. 腱鞘炎の治療で整形外科を選ぶメリット

腱鞘炎の治療は、適切な診断と治療法の選択が重要です。自己判断で市販薬を使用したり、放置したりすると症状が悪化し、慢性化してしまう可能性があります。整形外科を受診するメリットは、専門医による的確な診断と、症状や原因に合わせた最適な治療を受けられることです。その他にも様々なメリットがあります。

10.1 専門医による正確な診断と適切な治療

整形外科には、 musculoskeletal system(筋骨格系)に関する専門知識と豊富な経験を持つ医師がいます。問診、視診、触診、そして必要に応じて画像検査(レントゲン、MRI、超音波検査など)を行い、腱鞘炎の正確な診断を行います。自己判断では見落としてしまうような他の疾患の可能性も排除できます。 また、症状や原因、重症度に応じて、適切な治療法を提案してくれます。保存療法から手術療法まで、幅広い治療オプションから最適なものを選択できます。

10.2 多様な治療法の選択肢

整形外科では、腱鞘炎の症状や重症度に合わせて、様々な治療法を提供しています。以下はその一例です。

治療法内容
薬物療法消炎鎮痛剤の内服や外用薬の使用
装具療法サポーターやテーピングで患部を固定し、安静を保つ
注射療法ステロイド注射やヒアルロン酸注射を行い炎症を抑える
リハビリテーション関節可動域訓練やストレッチ、筋力トレーニングなど
手術療法狭窄した腱鞘を切開し、腱の動きをスムーズにする

これらの治療法を組み合わせることで、より効果的な治療が期待できます。

10.3 最新の治療にも対応

整形外科では、常に最新の医療技術や治療法の研究開発に取り組んでいます。例えば、PRP療法やハイブリッド手術などは、近年注目されている最新の治療法です。これらの治療法は、従来の治療法では効果が得られにくい症例にも有効な場合があります。

10.3.1 PRP療法

PRP療法は、患者さん自身の血液から採取した血小板血漿(Platelet-Rich Plasma)を患部に注射する治療法です。血小板には組織の修復を促進する成長因子が豊富に含まれており、腱の炎症を抑え、治癒を促進する効果が期待できます。

10.3.2 ハイブリッド手術

ハイブリッド手術は、内視鏡手術と小切開手術を組み合わせた治療法です。内視鏡を用いることで、傷口を小さく抑え、術後の痛みや腫れを軽減することができます。また、小切開手術により、より精密な手術操作が可能になります。

10.4 再発予防の指導

整形外科では、治療だけでなく、再発予防の指導も行います。日常生活での注意点や、仕事中の姿勢、適切なストレッチ方法などを指導することで、腱鞘炎の再発を防ぎます。 また、再発の兆候を早期に発見し、適切な対処をするためのアドバイスも受けられます。

10.5 他の疾患との鑑別

腱鞘炎と似た症状を示す疾患はいくつかあります。例えば、手根管症候群、ばね指、関節リウマチなどが挙げられます。整形外科では、これらの疾患との鑑別診断を行い、適切な治療を提供することができます。自己判断で治療を行うと、他の疾患を見逃してしまう可能性があり、適切な治療の開始が遅れてしまう可能性があります。

11. まとめ

腱鞘炎は、手首や指などの腱鞘に炎症が起こることで痛みや腫れが生じる疾患です。初期症状は軽い痛みや違和感ですが、放置すると日常生活に支障をきたすほど悪化することもあります。腱鞘炎の原因は、手や指の使いすぎ、ホルモンバランスの変化、加齢などが挙げられます。特に、スマートフォンやパソコンの長時間使用は現代人にとって大きなリスク要因と言えるでしょう。

腱鞘炎の治療は、整形外科で行います。整形外科では、症状や原因に応じて適切な治療法を選択してくれます。初期の腱鞘炎であれば、安静、薬物療法、装具療法などの保存療法が中心となります。炎症が強い場合は、注射療法を行うこともあります。症状が進行し、保存療法で効果が見られない場合は、手術療法が検討されます。PRP療法やハイブリッド手術などの最新の治療法も登場しており、より効果的な治療が期待できます。腱鞘炎を予防するためには、手や指の使いすぎに注意し、適度な休憩を挟むことが大切です。また、ストレッチや体操で腱や筋肉を柔軟にすることも有効です。

腱鞘炎の治療は早期発見・早期治療が重要です。少しでも違和感を感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。