突然歩けないほどの膝の痛みに襲われると、不安で何が原因なのか知りたくなりますよね。この記事では、膝の痛みで歩行困難になる様々な原因疾患を専門医の視点から徹底解説します。変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチなど、20種類以上の可能性から、あなたの症状に合った原因を特定するためのチェックポイントを紹介。さらに、痛みを和らげる即効性のある応急処置や、整形外科を受診すべき目安、最新の治療法まで網羅しています。膝の痛みの原因が分かれば適切な対処ができ、不安も軽減できます。この記事を読めば、あなたの膝の痛みの原因を特定し、早期回復への第一歩を踏み出せるでしょう。
急に歩けないほどの膝の痛みを感じたら
膝の痛みで歩けなくなる状態は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、精神的な不安も引き起こします。当院には「急に膝が痛くなって歩けなくなった」という相談が毎日のように寄せられています。このような症状に悩まされている方のために、原因と対処法について詳しく解説します。
膝の痛みで歩行困難になるメカニズム
膝関節は人体最大の関節であり、体重を支えながら複雑な動きを行う重要な部位です。この関節は大腿骨、脛骨、膝蓋骨という3つの骨から構成されており、これらの間に軟骨や半月板があることで衝撃を吸収しています。
歩行時には膝関節に体重の約2〜4倍もの負荷がかかると言われています。階段の上り下りではさらに大きな負担がかかり、下りでは体重の約8倍もの力が膝にかかることがわかっています。
膝が痛くて歩けなくなる主なメカニズムには以下のようなものがあります:
- 軟骨や半月板のすり減りによる骨同士の直接的な接触
- 関節内の炎症による腫れや熱感
- 靭帯や筋肉の損傷による不安定性
- 神経の圧迫や刺激による痛みの増幅
これらの問題が単独または複合的に発生することで、膝に体重をかけられなくなり、歩行困難な状態に陥ります。痛みを感じると防御反応として周囲の筋肉が緊張し、さらに動きを制限するという悪循環も生じやすくなります。
膝の痛みが現れるタイミングと特徴
膝の痛みが現れるタイミングやその特徴は、原因疾患を特定する重要な手がかりとなります。当院での診察経験から、以下のようなパターンが多く見られます。
痛みのタイミング | 特徴 | 考えられる原因 |
---|---|---|
朝起きた直後 | こわばり感があり、徐々に和らぐ | 変形性膝関節症、関節リウマチ |
長時間座った後の立ち上がり | 最初は痛いが、少し動くと楽になる | 変形性膝関節症、膝蓋大腿関節症 |
運動中や直後 | 急な痛みや音を伴うことがある | 半月板損傷、靭帯損傷 |
夜間や安静時 | じっとしていても痛む | 炎症性疾患、腫瘍性疾患 |
天候の変化 | 雨や気圧の変化で悪化 | 変形性膝関節症、過去の外傷 |
痛みの程度も重要な情報です。軽度の痛みであれば日常生活の調整で対応できる場合もありますが、歩行が困難なほどの強い痛みは、放置せずに速やかに医療機関を受診することが望ましいです。
また、膝の痛みと一緒に現れる症状にも注目が必要です。腫れ、熱感、発赤、関節液の貯留(水がたまる感じ)などの炎症所見がある場合は、より緊急性が高い可能性があります。
痛みのタイプ別の特徴と対処法
膝の痛みはその性質によっていくつかのタイプに分けられます。それぞれの特徴と初期対応について解説します。
鋭い痛み
刺すような、または鋭い痛みは、多くの場合、急性の損傷を示しています。
特に「ポキッ」や「バキッ」という音とともに現れた鋭い痛みは、靭帯や半月板の損傷の可能性が高いです。このような場合は、以下の応急処置が有効です:
- すぐに動作を中止し、膝を休ませる
- 患部を冷やす(20分間隔で繰り返す)
- 弾性包帯などで軽く圧迫する
- 膝を心臓より高い位置に上げる
これはRICE処置(Rest, Ice, Compression, Elevation)と呼ばれる応急処置の基本です。ただし、痛みが強い場合や、膝が明らかに変形している場合は、この処置を行った上で速やかに医療機関を受診してください。
鈍い痛み・重だるさ
じわじわとした鈍痛や重だるさは、慢性的な変化や炎症を示していることが多いです。変形性膝関節症や滑液包炎などが原因として考えられます。
対処法としては:
- 過度な負荷を避ける(長時間の立ち仕事や歩行を控える)
- 温めることで血行を促進する(入浴や温湿布)
- 市販の消炎鎮痛剤の使用(医師の指示に従うこと)
- 膝への負担を軽減する杖や膝サポーターの使用
ただし、鈍い痛みでも徐々に悪化する場合や、長期間(2週間以上)続く場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。
熱を持った痛み
膝が熱を持ち、赤みを伴う痛みは、強い炎症や感染の可能性があります。関節リウマチや痛風、化膿性関節炎などが考えられます。
このタイプの痛みがある場合:
- 安静にして膝に負担をかけない
- 冷却して炎症を抑える
- 発熱を伴う場合は特に緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診する
熱感を伴う膝の痛みは自己判断で対処せず、できるだけ早く専門医の診察を受けることが重要です。特に急激に腫れが広がり、全身症状(発熱や倦怠感)を伴う場合は、緊急性が高いと考えられます。
動作依存性の痛み
特定の動作でのみ痛みが現れる場合は、その動作に関連する構造物に問題がある可能性が高いです。
動作 | 考えられる原因 | 対処法 |
---|---|---|
正座ができない | 膝蓋大腿関節症、半月板損傷 | 無理に正座をせず、椅子を利用する |
階段の昇り降りが辛い | 膝蓋腱炎、膝蓋軟骨軟化症 | 手すりを使用し、一段ずつゆっくり移動 |
膝を伸ばすと痛む | 前十字靭帯損傷、膝蓋骨脱臼 | 膝を軽く曲げた状態を保ち、サポーターで保護 |
膝を曲げると痛む | 後十字靭帯損傷、滑液包炎 | 膝を伸ばした状態で休ませる |
動作依存性の痛みがある場合は、痛みを誘発する動作を一時的に避けることが重要です。また、痛みの原因となっている構造物を特定するために、整形外科での詳しい検査が必要となります。
膝の痛みは我慢せず、早めに専門家に相談することが大切です。当院では、患者さんの症状や生活背景を丁寧に伺いながら、最適な治療法をご提案しています。「歩けないほどの膝の痛み」でお悩みの方は、ぜひご相談ください。
膝の痛みで歩けなくなる主な原因
膝の痛みで歩行困難に陥る原因は実に様々です。痛みの性質や発症の仕方によって、適切な治療法や対処法が異なります。ここでは、歩けないほどの膝の痛みを引き起こす主な原因について詳しく解説します。
加齢による変性疾患
年齢を重ねるにつれて、膝関節の軟骨や組織は少しずつ変性していきます。これらの変性疾患は、徐々に進行することが特徴です。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は40歳以上の方に多く見られる疾患で、膝関節の軟骨がすり減ることにより発症します。日本では65歳以上の約80%がX線上で何らかの変形性膝関節症の所見を持つと言われています。
初期症状としては、長時間の歩行後や階段の昇り降りで痛みを感じることが多いですが、進行すると安静時にも痛みが現れ、最終的には歩行困難になることもあります。
特徴的な症状として以下が挙げられます:
- 朝起きたときの「こわばり感」
- 動き始めの痛み(スタートペイン)
- 膝を曲げ伸ばしする際のギシギシ音(クレピタス)
- 膝関節の腫れや熱感
- 膝の変形(O脚やX脚)
レントゲン検査では、関節裂隙の狭小化や骨棘(こつきょく)の形成が特徴的な所見です。
膝の軟骨損傷
膝関節内には関節軟骨と呼ばれるクッションの役割を果たす組織が存在します。この軟骨が加齢や過度の使用によって摩耗すると、骨と骨が直接こすれ合い、強い痛みを引き起こします。
軟骨損傷の特徴は、膝に体重をかけたときに生じる鋭い痛みと、膝の動きに伴う違和感や引っかかり感です。特に膝を完全に伸ばしたり曲げたりする動作で症状が悪化することがあります。
軟骨損傷は次のような状況で発生しやすくなります:
- 過度の運動や繰り返しの膝への負担
- 肥満による過剰な荷重
- 不適切な姿勢や歩き方の継続
- 過去の膝の外傷
エコー検査では軟骨の状態を確認することができますが、より詳細な評価にはレントゲン検査も併用されます。
外傷による急性の痛み
スポーツや日常生活での事故によって、膝に急性の損傷が生じることがあります。これらは突然の激しい痛みを伴い、即座に歩行困難になることが特徴です。
半月板損傷
半月板は膝関節内にあるC字型の軟骨組織で、クッションの役割と関節の安定性を担っています。この半月板が裂けたり変性したりすると、強い痛みと可動域制限を引き起こします。
半月板損傷は膝をひねる動作やしゃがみ込み動作で発生しやすく、「膝の内側または外側の痛み」「膝が引っかかる感じ」「膝の腫れ」などの症状が現れます。
半月板損傷のタイプ | 特徴的な症状 | 好発年齢 |
---|---|---|
急性損傷 | スポーツなどでの急激なひねりによる裂傷、強い痛みと腫れ | 10〜40代 |
変性損傷 | 加齢による半月板の変性が原因、症状は緩やか | 40代以上 |
複合損傷 | 他の膝の怪我(前十字靭帯損傷など)と合併 | 全年齢 |
半月板損傷の診断には問診や徒手検査に加え、エコー検査やレントゲン検査が用いられます。
前十字靭帯損傷
前十字靭帯(ACL)は膝関節の安定性を保つ重要な靭帯です。ジャンプの着地やストップ動作、方向転換時のひねりなどで損傷することが多く、スポーツ活動中に発生することが多い怪我です。
前十字靭帯損傷の特徴は「膝が抜ける感じ」「ポキッという音の後の激痛」「膝の腫れと熱感」「膝の不安定感」などです。損傷直後は痛みで歩けなくなることが多いですが、数日後に痛みが和らいでも膝の不安定感は残ります。
重症度によって、以下のように分類されます:
- グレード1:靭帯の軽度の引き伸ばし(部分断裂)
- グレード2:靭帯の中程度の断裂(不完全断裂)
- グレード3:靭帯の完全断裂
診断には特殊な徒手検査法(前方引き出しテストやラックマンテストなど)とエコー検査が用いられます。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨(お皿)が正常な位置から外れる状態を膝蓋骨脱臼と呼びます。多くの場合、膝を曲げた状態で膝の外側に強い力が加わったときや、膝を捻ったときに発生します。
膝蓋骨脱臼の特徴的な症状は「激しい痛み」「膝が変形したように見える」「膝を動かせない」「膝の腫れ」などです。初回脱臼後は再発しやすくなる傾向があります。
膝蓋骨脱臼のリスク因子には以下のものがあります:
- Q角(膝蓋骨の位置と大腿四頭筋の角度)の増大
- 膝蓋骨の形態異常
- 大腿四頭筋の筋力低下
- 靭帯の緩み
- 過去の膝の外傷歴
診断にはレントゲン検査が用いられ、膝蓋骨の位置異常や骨折の有無が確認されます。
炎症性疾患
膝関節とその周囲組織に炎症が生じることで、激しい痛みや腫れ、発熱などの症状が現れることがあります。これらの疾患は適切な診断と治療が必要です。
関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫疾患の一種で、免疫システムが誤って関節の滑膜を攻撃することで炎症が起きます。膝関節も影響を受ける主要な部位の一つです。
関節リウマチの膝の症状の特徴は「両側性の痛み」「朝のこわばりが1時間以上続く」「関節の腫れと熱感」「全身的な倦怠感」などが挙げられます。徐々に進行すると膝の変形や歩行困難をきたします。
関節リウマチは次のような検査で診断されます:
- 血液検査(リウマトイド因子、抗CCP抗体、炎症マーカー)
- レントゲン検査(関節裂隙の狭小化や骨びらんの確認)
- エコー検査(滑膜炎の評価)
早期診断と治療開始が関節の破壊を防ぐ鍵となります。
痛風
痛風は尿酸値が高くなり、尿酸塩結晶が関節内に沈着することで起こる関節炎です。一般的には親指の付け根の関節に発症しやすいですが、膝関節にも生じることがあります。
痛風発作の特徴は「突然の激しい痛み」「発赤と熱感」「腫れ」「触れただけでも痛む」などです。多くの場合、夜間から早朝にかけて症状が現れます。
痛風のリスク因子には以下のものがあります:
- 高尿酸血症
- 過度のアルコール摂取
- プリン体を多く含む食品の過剰摂取
- 肥満
- 腎機能障害
- 家族歴
診断には血液検査(尿酸値の測定)が重要ですが、発作時には必ずしも尿酸値が高くないこともあります。関節液の検査で尿酸塩結晶を確認できれば確定診断となります。
膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
膝蓋腱炎は、膝蓋骨(お皿)と脛骨を結ぶ膝蓋腱(膝蓋靭帯)に炎症が生じる状態です。ジャンプを繰り返すスポーツ選手に多いことから「ジャンパー膝」とも呼ばれます。
膝蓋腱炎の特徴は「膝の前面の痛み」「特に膝蓋骨の下部に圧痛がある」「ジャンプや階段の昇り降りで痛みが増す」「始動時に痛みが強い」などです。
膝蓋腱炎は過度の使用(オーバーユース)が主な原因で、以下のような要因が関与します:
- 反復的なジャンプや着地動作
- トレーニング量の急激な増加
- 硬い地面での運動
- 下肢のアライメント異常
- 柔軟性の欠如
診断は触診による圧痛の確認と、エコー検査による腱の肥厚や血流増加の評価で行われます。
その他の原因
前述の疾患以外にも、膝の痛みで歩けなくなる原因はいくつか存在します。特に成長期の子どもや特定の状況下で発症しやすい疾患があります。
オスグッド・シュラッター病
オスグッド・シュラッター病は成長期(10〜15歳頃)の子どもに多く見られる疾患で、脛骨粗面(すねの骨の上部前面の出っ張り)に膝蓋腱が付着する部分に炎症が生じます。
特徴的な症状は「膝の下部前面の痛み」「脛骨粗面の腫れや出っ張り」「膝を曲げ伸ばしする動作で痛みが増す」「スポーツ活動後の痛みの悪化」などです。
成長期に特有の疾患である理由として、以下の要因が考えられます:
- 骨の成長と筋肉・腱の成長のアンバランス
- 脛骨粗面の骨化過程での脆弱性
- 急激な身長の伸びと同時期のスポーツ活動
診断はレントゲン検査で脛骨粗面の変化(骨片の分離や肥大)を確認します。多くの場合、成長が完了すると自然に症状は改善します。
滑液包炎
滑液包は関節の周囲にある液体が入った袋状の組織で、骨と腱、筋肉などの間の摩擦を減らす役割があります。この滑液包に炎症が生じると滑液包炎となります。
膝の滑液包炎の特徴は「膝の表面の腫れ」「発赤や熱感」「動作時の痛み」「圧迫による痛み」などです。膝周囲には複数の滑液包があり、部位によって症状や原因が異なります。
滑液包炎の種類 | 部位 | 主な原因 |
---|---|---|
膝蓋前滑液包炎 | 膝蓋骨(お皿)の前面 | 長時間の正座や膝つき作業(ハウスメイド膝) |
鵞足滑液包炎 | 膝の内側下部 | 内側広筋などの鵞足部への過剰な負荷 |
膝窩滑液包炎 | 膝の裏側 | 膝の過伸展や外傷 |
診断にはエコー検査が有用で、滑液包の肥厚や液体貯留の状態を確認できます。
腫瘍性疾患
稀ではありますが、膝の周囲に発生する良性または悪性の腫瘍が、歩行困難を伴うような痛みの原因となることがあります。
腫瘍性疾患による膝の痛みの特徴は「徐々に増悪する痛み」「夜間痛」「安静時にも続く痛み」「原因不明の腫れや塊」などが挙げられます。
膝周囲に発生する主な腫瘍には以下のようなものがあります:
- 良性腫瘍:滑膜軟骨腫症、色素性絨毛結節性滑膜炎、骨軟骨腫など
- 悪性腫瘍:骨肉腫、滑膜肉腫、軟骨肉腫など
- 転移性腫瘍:他の部位からのがん細胞の転移
腫瘍が疑われる場合は、レントゲン検査に加えて、必要に応じて組織生検が行われます。特に他の治療に反応しない原因不明の痛みが持続する場合は、腫瘍性疾患の可能性も考慮する必要があります。
この章で紹介した原因疾患は多岐にわたりますが、症状の特徴や発症のパターンを理解することで、適切な診断につながる可能性が高まります。膝の痛みで歩行困難を感じた場合は、自己判断せず専門医の診察を受けることをお勧めします。
膝の痛みの症状別チェックポイント
膝の痛みは様々な原因から生じますが、痛みの出方や場所によって原因疾患を絞り込むことができます。このセクションでは、動作や痛みの場所に基づいて、考えられる病気や状態を解説します。ご自身の症状と照らし合わせることで、適切な対処法を見つける手がかりとなるでしょう。
動作による痛みの違い
膝の痛みは特定の動作をした時に強く表れることがあります。その痛みのパターンは、膝の問題を特定する上で重要な手がかりとなります。
立ち上がるときに痛む
長時間の座位から立ち上がる際に強い痛みを感じる場合、変形性膝関節症の可能性が高いです。特に中高年の方に多く見られる症状です。
立ち上がり時の痛みの特徴:
- 膝の前面や内側に痛みを感じる
- 最初の数歩が特に痛い(スタートペイン)
- しばらく歩くと和らぐことが多い
- 朝起きた直後や長時間同じ姿勢を続けた後に強く現れる
これらの症状がある場合、軟骨のすり減りや関節液の減少が原因である可能性が考えられます。立ち上がる際は、両手を使って体重を分散させたり、高めの椅子を選んだりすることで負担を軽減できます。
歩き始めに痛む
歩き始めの数歩で痛みが強く、その後徐々に和らいでくる場合は、膝関節の拘縮や炎症が考えられます。
歩き始めの痛みの特徴:
- 「膝が固まった感じ」から始まる痛み
- 数歩歩くと徐々に軽減する
- 長時間安静にしていた後に特に顕著
- 天気や気温の変化で悪化することがある
この症状は関節リウマチや関節水腫がある場合にも見られます。歩き始める前に軽いストレッチを行うことで症状が緩和されることもあります。
痛みのタイミング | 考えられる原因 | 対処法 |
---|---|---|
歩き始め直後 | 変形性膝関節症、関節水腫 | 歩く前の軽いストレッチ、温め |
長時間歩いた後 | 膝蓋腱炎、滑液包炎 | 適度な休息、冷却 |
常に痛む | 関節リウマチ、感染症 | 医療機関での診察が必要 |
階段の上り下りで痛む
階段の上り下りで特に痛みが強くなる場合、膝蓋大腿関節の問題が疑われます。膝の前面、特に膝のお皿(膝蓋骨)の周囲に痛みを感じることが多いです。
階段での痛みの特徴:
- 下りの階段で特に痛みが強い(膝蓋軟骨軟化症の場合)
- 上りの階段でより痛む(膝蓋腱炎の場合)
- 膝がカクッとなる感覚や不安定感を伴うことも
- 痛みと同時にギシギシという音がする場合も
このような症状がある方は、膝蓋骨と大腿骨の間にある軟骨の摩耗や膝蓋腱の炎症が考えられます。階段の利用を減らす、手すりを使う、膝蓋骨周囲の筋肉を強化するなどの対策が有効です。
痛みの場所別の原因疾患
膝の痛みが生じる場所によって、原因となる疾患や状態はかなり絞り込むことができます。自分の痛みがどの部位に現れるかを把握しておくことで、医師への相談時にも役立ちます。
膝の前面の痛み
膝の前面(膝蓋骨周辺)に痛みが集中している場合、以下のような原因が考えられます:
- 膝蓋大腿関節症:膝蓋骨と大腿骨の間の関節の炎症や変性
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝):膝蓋骨の下部にある腱の炎症
- 膝蓋骨軟化症:膝蓋骨の裏側の軟骨のすり減り
- オスグッド・シュラッター病:成長期の子どもに多い、膝蓋腱付着部の炎症
前面の痛みを緩和するには、膝を曲げる動作を減らすこと、太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)を適度に強化すること、場合によっては膝のサポーターを使用することが効果的です。
前面の痛みの特徴 | 可能性のある疾患 |
---|---|
膝蓋骨下部の痛みとはれ(特に10代) | オスグッド・シュラッター病 |
膝蓋骨下部の痛み(運動後に増悪) | 膝蓋腱炎(ジャンパー膝) |
膝蓋骨周囲の痛み(特に階段降り) | 膝蓋大腿関節症 |
膝全体の前面の痛みとはれ | 滑液包炎または膝関節水腫 |
膝の内側の痛み
膝の内側(脚の内側)に痛みがある場合は、以下の疾患や状態が考えられます:
- 内側側副靭帯損傷:膝の内側を支える靭帯の損傷
- 内側半月板損傷:クッションの役割をする半月板の内側部分の損傷
- 変形性膝関節症(内側型):内側の関節軟骨のすり減り
- 鵞足炎:膝の内側下部にある腱の付着部の炎症
日本人の場合、O脚傾向が強いため、膝の内側に負担がかかりやすく、変形性膝関節症では内側型が多いのが特徴です。内側の痛みがある場合は、横への動きを制限する、内側に負担がかからないように体重を分散させる歩き方を心がけるなどの工夫が必要です。
特に中高年の方で膝の内側に痛みがある場合は、変形性膝関節症の可能性が高いです。膝に負担をかけない生活習慣の見直しやレントゲンでの検査が推奨されます。
膝の外側の痛み
膝の外側(脚の外側)に痛みがある場合、考えられる原因には以下のようなものがあります:
- 腸脛靭帯炎(ランナー膝):太ももの外側から膝にかけて走る靭帯の炎症
- 外側側副靭帯損傷:膝の外側を支える靭帯の損傷
- 外側半月板損傷:半月板外側部分の損傷
- 変形性膝関節症(外側型):外側の関節軟骨のすり減り(X脚の方に多い)
外側の痛みは、特にランニングなどの繰り返し動作で悪化することが多く、ランナーに多い症状です。痛みがある場合は、運動量を調整する、適切なランニングシューズを選ぶ、大腿筋膜張筋(外側の筋肉)のストレッチを行うなどの対策が効果的です。
腸脛靭帯炎の場合、膝の外側が熱を持ったように感じることもあります。この場合は冷却と休息が基本的な対処法になります。
膝の裏側の痛み
膝の裏側(膝窩部)に痛みがある場合、以下のような原因が考えられます:
- 膝窩筋腱炎:膝の裏側にある筋肉の腱の炎症
- ベーカー嚢胞:膝の裏側にできる関節液が溜まった袋状のもの
- ハムストリングス損傷:太ももの裏側の筋肉の損傷
- 後十字靭帯損傷:膝の安定性を保つ靭帯の損傷
膝の裏側の痛みは見落とされがちですが、特に膝を完全に伸ばしたときや、しゃがんだ状態から立ち上がるときに痛みが強くなる場合は注意が必要です。
ベーカー嚢胞の場合、膝の裏側にしこりのようなものを触れることがあります。これが破裂すると、急激な痛みとともにふくらはぎにかけて腫れや熱感が生じることがあるため、医療機関での診察が必要です。
痛みの場所 | 可能性のある疾患 | 痛みの特徴 |
---|---|---|
膝の前面 | 膝蓋大腿関節症、膝蓋腱炎 | 階段の上り下り、しゃがむ動作で悪化 |
膝の内側 | 内側半月板損傷、変形性膝関節症(内側型) | 歩行時に痛む、膝をひねると痛む |
膝の外側 | 腸脛靭帯炎、外側半月板損傷 | ランニングで悪化、膝の外側がこすれる感覚 |
膝の裏側 | ベーカー嚢胞、膝窩筋腱炎 | 膝を完全に伸ばすと痛む、しこりを触れる |
膝の痛みの場所や動作による特徴を理解することで、ご自身の症状がどのような原因から生じているのかの手がかりになります。ただし、正確な診断は医療機関で行う必要があります。当院では、膝の痛みの詳細な評価と適切な治療プランをご提案しております。特に膝に水が溜まる、発熱を伴う、強い腫れがある、動かせないなどの症状がある場合は、早急に受診されることをお勧めします。
膝の痛みは単なる加齢現象と諦めてしまうケースも多いですが、適切な診断と治療により、多くの場合で痛みの軽減や日常生活の質の向上が可能です。痛みの場所や性質に注目して、早めの対処を心がけましょう。
歩けないほどの膝の痛みを感じたときの応急処置
膝の痛みが突然悪化して歩けなくなった場合、適切な応急処置を行うことで痛みを軽減し、回復を早めることができます。病院を受診する前に自宅でできる対処法についてご紹介します。
RICE処置の実践方法
膝に急性の痛みを感じた場合、まず行うべき応急処置として「RICE処置」があります。これは最初の24〜48時間以内に効果的な方法です。
RICE処置とは以下の4つの頭文字を取ったものです:
項目 | 具体的な方法 | 効果 |
---|---|---|
Rest(安静) | 膝に負担をかける動作を控え、できるだけ安静にする | 炎症の悪化を防ぎ、痛みの増加を抑える |
Ice(冷却) | 氷嚢やアイスパックを使って15〜20分ごとに冷やす | 血管を収縮させ、腫れや痛みを抑制する |
Compression(圧迫) | 弾性包帯や膝サポーターで適度に圧迫する | 腫れの拡大を防ぎ、安定感を得られる |
Elevation(挙上) | 膝を心臓より高い位置に保つ | 血流を促進し、腫れを軽減する |
冷却は直接皮膚に氷を当てず、タオルなどで包んでから行いましょう。また、冷やしすぎると凍傷のリスクがあるため、15〜20分以上の連続使用は避けてください。
安静にすることは大切ですが、完全に動かさないことではありません。膝を動かさなさすぎると関節が硬くなる可能性があります。痛みの程度に応じて、無理のない範囲で軽く動かすことも必要です。
市販の鎮痛薬の適切な使用法
応急処置として市販の鎮痛薬を使用することも一つの方法です。ただし、使用する際には注意点があります。
一般的に使用される鎮痛薬には以下のようなものがあります:
種類 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニンS、イブプロフェン含有薬など) | 炎症と痛みの両方に効果がある | 胃腸障害の可能性あり、食後の服用が望ましい |
アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど) | 胃への負担が少なく、主に痛みを抑える | 炎症への効果は弱いが、副作用は比較的少ない |
外用消炎鎮痛剤(フェルビナク、インドメタシン含有薬など) | 患部に直接塗布し、局所的に作用する | 皮膚刺激の可能性あり、使用前にパッチテスト推奨 |
市販薬を使用する際は、必ず用法・用量を守り、長期間の連続使用は避けてください。また、以下のような場合は医師に相談してから使用することをお勧めします:
- 胃潰瘍や腎臓疾患の既往歴がある場合
- 妊娠中または授乳中の場合
- 他の薬との併用がある場合
- 高齢の方や、お子さまへの使用
痛みが3日以上続く場合や、市販薬で改善しない場合は自己判断での服用を続けず、早めに医療機関を受診しましょう。
痛みを和らげるセルフケア
RICE処置や鎮痛薬以外にも、自宅でできる痛みを和らげるセルフケア方法があります。
温冷交代療法
急性期(最初の24〜48時間)が過ぎたら、温冷交代療法が効果的な場合があります。
- まず冷却(15〜20分)
- 休憩(30分程度)
- 温める(15〜20分)
温めることで血行が促進され、痛みの軽減や回復の促進が期待できます。ただし、腫れがある場合は冷却を優先し、温めることは控えましょう。
膝のサポート
膝サポーターやテーピングを使用することで、膝関節を安定させ、痛みを軽減させることができます。
膝サポーターを選ぶ際のポイント:
- 適切なサイズを選ぶ(きつすぎると血流を阻害する恐れあり)
- 膝の症状に合ったタイプを選ぶ(前十字靭帯用、半月板用など)
- 素材は通気性の良いものが望ましい
- 適度な圧迫感と動きやすさのバランスが取れたもの
膝サポーターは補助的な役割を果たすものであり、根本的な治療にはなりません。長期的に依存するのではなく、一時的な補助として使用することをお勧めします。
日常生活での工夫
膝の痛みで歩けない場合は、以下のような日常生活での工夫も大切です:
- 杖や歩行器を一時的に使用する
- 階段の上り下りを最小限にする
- 長時間の立ち仕事や膝を曲げる動作を避ける
- 椅子に座るときは高めの椅子を選ぶ
- 正座やあぐらをかく姿勢を避ける
- 床からの立ち上がりは壁や家具を使って膝への負担を減らす
入浴時は滑りやすくなるため、浴槽内に滑り止めマットを敷いたり、浴室内に手すりを設置したりするなどの安全対策も考慮しましょう。
ツボ押しとマッサージ
膝周辺のツボを刺激することで、痛みの緩和が期待できる場合があります。代表的なツボとしては:
- 「膝眼」(しつがん):膝のお皿の内側と外側のくぼみ
- 「陰陵泉」(いんりょうせん):膝の内側のくぼみ
- 「足三里」(あしさんり):膝のお皿の下、すねの外側
これらのツボを親指でゆっくりと押し、気持ちいいと感じる程度の強さで30秒ほど刺激します。ただし、強い痛みがある場合や腫れている場合は、マッサージやツボ押しは避けてください。状態を悪化させる可能性があります。
膝の周囲の筋肉(太ももの前側や後ろ側)を優しくマッサージすることで、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進することもできます。
水分と栄養の摂取
炎症を抑えるためには、十分な水分摂取も重要です。また、抗炎症作用のある食品(青魚、ウコン、生姜など)を取り入れることも症状改善の助けになります。
応急処置を行っても痛みが改善しない場合や、以下のような症状がある場合は、早急に医療機関を受診しましょう:
- 強い腫れや熱感がある
- 膝が動かせない、またはロックする感覚がある
- 膝がグラグラする不安定感がある
- 転倒や強い衝撃の後に痛みが生じた
- 発熱を伴う膝の痛み
適切な応急処置は症状の悪化を防ぎ、回復を早める助けになりますが、正確な診断と適切な治療のためには、専門医による診察が重要です。
膝の痛みで歩けない場合に受診すべき医療機関
膝の痛みが強く歩行が困難になると、適切な医療機関を受診することが重要です。しかし、どの診療科や医療機関を選べばよいのか迷われる方も多いでしょう。ここでは、膝の痛みに対応する医療機関の選び方と受診のタイミングについて詳しく解説します。
整形外科を受診する目安
膝の痛みを感じたとき、まず考えるべき受診先は整形外科です。特に以下のような症状がある場合は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。
- 歩行が困難なほどの強い痛みがある
- 膝に腫れや熱感がある
- 膝に水がたまっている感覚がある
- 膝が不安定で、「ガクッ」とする感覚がある
- 階段の上り下りが特に痛む
- 膝を曲げ伸ばしする際に異音がする
- 転倒や衝撃後に痛みが出現した
- 1週間以上痛みが持続している
整形外科では、問診からはじまり、徒手検査(医師が直接膝を動かして確認する検査)、必要に応じてレントゲンや超音波による検査を行います。これにより、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯損傷などの診断が可能になります。
近年では、膝専門外来を設けている整形外科クリニックも増えています。膝に特化した診療を受けられるため、適切な診断と治療を期待できます。
症状 | 考えられる疾患 | 受診の緊急度 |
---|---|---|
外傷後の激しい痛みと腫れ | 靭帯損傷・半月板損傷 | できるだけ早く(1~2日以内) |
長期間続く膝の痛みと腫れ | 変形性膝関節症・関節リウマチ | 1週間以内 |
突然の激痛と熱感 | 痛風・感染性関節炎 | 緊急(当日) |
運動後の膝前面の痛み | 膝蓋腱炎・ジャンパー膝 | 症状が続くようなら1~2週間以内 |
また、整形外科を受診する際は、以下の点を事前に整理しておくとスムーズです。
- いつから痛みが始まったか
- どのような動作で痛むか
- 痛みの場所を具体的に
- 過去の膝の怪我や治療歴
- 日常生活や仕事、スポーツでの影響
リハビリテーション科の役割
膝の痛みの原因が特定され、保存的治療が適切と判断された場合、リハビリテーション科での治療が重要になります。リハビリテーション科では、理学療法士による専門的なリハビリプログラムを受けることができます。
リハビリテーション科では主に以下のようなアプローチが行われます:
- 膝周囲の筋力強化訓練
- 関節可動域訓練
- 歩行訓練
- 物理療法(温熱療法、電気療法など)
- 日常生活動作の指導
- 姿勢・歩行パターンの修正
リハビリテーション科での治療は、膝の痛みを緩和するだけでなく、日常生活への復帰や再発予防においても重要な役割を果たします。特に変形性膝関節症や膝蓋大腿関節症候群などの疾患では、適切なリハビリテーションが症状改善の鍵となります。
整形外科とリハビリテーション科は連携して治療にあたることが多く、医師の指示のもとでリハビリテーションプログラムが組まれます。リハビリの頻度や期間は、症状の程度や疾患によって異なりますが、定期的に通院し、自宅でも指導された運動を継続することが重要です。
膝の専門医の選び方
膝の痛みを抱える患者さんにとって、適切な専門医を選ぶことは治療成功の重要な要素です。膝の専門医を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
専門性を確認する
整形外科の中でも、膝関節を専門としている医師を選ぶことが望ましいです。特に以下の点を確認しましょう:
- 膝関節疾患の治療実績があるか
- 日本整形外科学会専門医や日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)などの資格を持っているか
- 膝専門外来を設けているか
- スポーツ医学や関節疾患に関する知識が豊富か
設備と診療体制を確認する
膝の痛みの診断・治療には適切な医療設備と診療体制が必要です。以下の点もチェックしましょう:
- レントゲン検査設備があるか
- 超音波検査(エコー)が可能か
- 理学療法士が常駐し、リハビリテーションが充実しているか
- 予約システムや待ち時間の状況
- 通院のしやすさや駐車場の有無
膝の痛みは長期的な治療が必要なケースも多いため、信頼関係を築きやすい医師を選ぶことも大切です。初診時の説明が丁寧で、患者の質問や不安に真摯に向き合ってくれる医療機関を選びましょう。
また、セカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。特に手術を勧められた場合や、治療方針に疑問がある場合は、別の専門医の意見を聞くことで、より適切な治療法を選択できる可能性があります。
医療機関の種類 | 特徴 | 向いている症状・状況 |
---|---|---|
クリニック(診療所) | 比較的待ち時間が短く、通院しやすい | 慢性的な膝の痛み、軽度~中等度の症状 |
総合病院 | 各種検査設備が充実、他科との連携可能 | 原因不明の痛み、複雑な症状、手術検討 |
大学病院 | 最新の治療法や研究的アプローチ | 難治性の症状、特殊な治療が必要な場合 |
スポーツクリニック | スポーツ障害に特化した診療 | スポーツによる膝の怪我、競技復帰を目指す場合 |
膝の痛みの受診先を検討する際には、かかりつけ医に相談するのも良い方法です。適切な専門医や医療機関を紹介してもらえることがあります。また、健康保険組合や地域の医師会などが提供する医療機関検索サービスも活用できます。
膝の痛みで歩けない状態は生活の質を著しく低下させます。症状を我慢せず、早めに適切な医療機関を受診し、専門的な診断と治療を受けることが、膝の健康を取り戻す第一歩です。
膝の痛みの詳しい検査と診断方法
膝の痛みで歩けないほどの症状がある場合、正確な診断を受けることが適切な治療への第一歩となります。当院では、患者様の症状を総合的に評価するために、複数の検査方法を組み合わせて診断を行っています。検査では痛みの原因を特定するだけでなく、膝関節の状態を詳細に把握し、最適な治療計画を立てることを目指しています。
問診と徒手検査
膝の痛みの診断において、最初に行われるのが詳細な問診です。医師は患者様から以下のような情報を収集します:
- いつから痛みが始まったか
- 痛みの性質(鋭い痛み、鈍い痛み、ズキズキする痛みなど)
- 痛みの場所
- 痛みを誘発する動作や状況
- 日常生活での困難な動作
- 過去の膝のケガや治療歴
- 仕事や運動習慣
問診の後、医師は徒手検査(身体診察)を行います。徒手検査では、膝の動きや安定性を評価し、特定の疾患に特徴的な徴候を探ります。
検査名 | 方法 | 評価できる疾患 |
---|---|---|
マクマレイテスト | 膝を曲げ伸ばししながら回旋させる | 半月板損傷 |
前方引き出しテスト | 膝を90度曲げた状態で脛骨を前方に引く | 前十字靭帯損傷 |
ラックマンテスト | 膝を軽く曲げた状態で脛骨を前方に引く | 前十字靭帯損傷 |
内反・外反ストレステスト | 膝に内側・外側からストレスをかける | 内側・外側側副靭帯損傷 |
膝蓋跳動テスト | 膝蓋骨を押し下げて跳ね返りを確認 | 関節液貯留 |
これらの徒手検査は、痛みを誘発する可能性があるため、医師が患者様の状態を見ながら慎重に行います。徒手検査だけでは確定診断が難しい場合も多いため、必要に応じて画像検査などの精密検査を組み合わせます。
画像診断
膝の痛みの原因を視覚的に確認するために、様々な画像診断法が用いられます。それぞれの検査には特徴があり、疾患に応じて適切な検査が選択されます。
レントゲン検査
最も基本的な画像検査はレントゲン(X線)検査です。レントゲン検査では主に骨の状態を評価することができます。
レントゲン検査で分かること:
- 骨折や脱臼の有無
- 関節の隙間(関節軟骨の厚さを間接的に評価)
- 変形性膝関節症における軟骨すり減りの程度
- 骨棘(骨の出っ張り)形成
- 石灰化病変
- 関節のアライメント(膝の曲がり具合)
通常、膝のレントゲン検査では、正面像、側面像、膝蓋骨軸位像など複数の角度から撮影を行い、総合的に評価します。変形性膝関節症では、立位での荷重下レントゲンが重要な情報をもたらします。
ただし、レントゲン検査では軟部組織(筋肉、靭帯、半月板など)の詳細な評価はできないため、軟部組織の損傷が疑われる場合は他の検査が必要となります。
MRI検査
MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場を使って体内の詳細な断層画像を作成する検査法です。レントゲンでは見えない軟部組織の状態を詳細に評価できる利点があります。
MRI検査で分かること:
- 半月板の損傷状態
- 靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯、内側・外側側副靭帯など)の損傷
- 軟骨の状態
- 骨の内部状態(骨挫傷、壊死病変など)
- 関節内の水腫(炎症による液体貯留)
- 滑膜炎の程度
- 筋肉や腱の損傷
MRI検査は非侵襲的で放射線被曝がなく、軟部組織の評価に優れていますが、検査時間が長く、閉所恐怖症の方や体内に金属のある方には適さない場合があります。また、保険適用条件や予約状況によっては検査までに時間がかかる場合もあります。
超音波検査
超音波(エコー)検査は、超音波を利用してリアルタイムに体内の状態を観察する検査方法です。当院では日常診療で積極的に活用しています。
超音波検査の特徴と利点:
- リアルタイムで動きながらの観察が可能
- 患者様の痛みがある部位を直接確認しながら検査できる
- 放射線被曝がなく、繰り返し検査が可能
- 検査時間が短く、待ち時間も少ない
- 比較的低コスト
超音波検査で評価できる主な病態:
- 膝関節内の水腫(関節液貯留)
- ベーカー嚢胞(膝裏の嚢胞)
- 滑液包炎(膝蓋上滑液包炎など)
- 表層の半月板損傷
- 側副靭帯の損傷
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 筋肉や腱の損傷
超音波検査は、医師が直接行うことで、患者様の訴える痛みの部位と画像所見を即座に結びつけることができる利点があります。また、反対側の正常な膝と比較することで、異常をより明確に検出することも可能です。
ただし、超音波は骨の内部や深部構造の評価には限界があり、複雑な靭帯損傷や深部の軟骨損傷の詳細な評価には、MRIなどの他の検査が必要となる場合があります。
検査方法 | 主な特徴 | 適している疾患 | 制限事項 |
---|---|---|---|
レントゲン | 骨構造の評価に優れる | 骨折、変形性膝関節症、関節アライメント異常 | 軟部組織の評価が困難 |
MRI | 軟部組織の詳細な評価が可能 | 半月板損傷、靭帯損傷、軟骨損傷、骨挫傷 | 検査時間が長い、金属禁忌、コスト高 |
超音波 | リアルタイム評価、動的検査が可能 | 滑液包炎、水腫、膝蓋腱炎、表在性の損傷 | 深部構造や骨内部の評価に限界 |
血液検査で分かること
膝の痛みの原因が炎症性疾患や全身性疾患に関連している可能性がある場合、血液検査が有用な情報をもたらします。
血液検査で評価できる主な項目:
- 炎症マーカー:CRP(C反応性タンパク)、赤血球沈降速度(ESR)などが上昇していると、体内で炎症が起きていることを示します。関節リウマチや感染性関節炎などで上昇します。
- リウマチ因子(RF)・抗CCP抗体:関節リウマチの診断に役立つ自己抗体です。特に抗CCP抗体は関節リウマチに特異性が高いとされています。
- 尿酸値:高値の場合、痛風の可能性があります。痛風発作中には一時的に正常値を示すこともあるため、発作がおさまった後の検査も重要です。
- HLA-B27:強直性脊椎炎などの脊椎関節炎で陽性になることがあります。膝の痛みが他の関節症状と併せて現れる場合に検査することがあります。
- 血算:貧血や白血球数の異常は、炎症性疾患や感染症の手がかりになります。
- 肝機能・腎機能検査:治療薬の選択や用量調整のための基礎情報となります。
血液検査は単独で確定診断につながることは少ないですが、他の検査結果と合わせて総合的に判断するための重要な情報源となります。また、治療効果のモニタリングにも用いられます。
当院では必要に応じて、膝関節穿刺(関節液の採取)を行うこともあります。関節液の性状や細胞数、結晶の有無などを調べることで、感染性関節炎、結晶誘発性関節炎(痛風、偽痛風)などの診断に役立てています。
膝の痛みの原因は多岐にわたるため、これらの検査を適切に組み合わせることで、より正確な診断が可能になります。当院では患者様の症状や状態に合わせて、必要な検査を選択し、丁寧な説明とともに診断を進めています。どのような検査が必要かは医師が判断しますが、検査に対する不安や疑問がある場合は、遠慮なくご相談ください。
正確な診断に基づいた適切な治療計画を立てることで、膝の痛みを効果的に改善し、日常生活への早期復帰を目指します。検査結果に基づいて、患者様一人ひとりに最適な治療法をご提案いたします。
膝の痛みの治療法
膝の痛みで歩けない状態になったとき、適切な治療を受けることが回復への早道です。膝の痛みの原因によって治療法は異なりますが、大きく分けて保存的治療、注射療法、そして手術療法があります。当院では患者様の状態に合わせた最適な治療プランをご提案しています。
保存的治療
膝の痛みの多くは、まず保存的治療から始めます。これは手術をせずに痛みを和らげ、機能を回復させる方法です。
リハビリテーション
リハビリテーションは膝の痛み改善に非常に有効です。特に理学療法士による専門的な指導のもとで行うことで、効果的に症状を改善できます。
リハビリテーションでは主に以下のようなアプローチを行います:
- 関節可動域訓練:膝の動きを制限する拘縮を防ぎ、正常な動きを取り戻します
- 筋力強化訓練:大腿四頭筋やハムストリングスなど、膝を支える筋肉を強化します
- バランス訓練:正しい姿勢や歩行パターンを身につけ、膝への負担を軽減します
- 物理療法:温熱療法や電気療法、超音波療法などで痛みや炎症を軽減します
リハビリテーションは急性期を過ぎた後に開始することが多く、週2〜3回程度の頻度で継続することで効果が表れます。自宅でも行える簡単なエクササイズも指導し、日常生活に取り入れていただくことが重要です。
装具療法
膝の痛みを和らげるため、適切な装具を使用することも効果的な治療法です。装具は膝関節の安定性を高め、負担を軽減する働きがあります。
装具の種類 | 効果 | 適応となる症状・疾患 |
---|---|---|
膝サポーター | 軽度の安定性向上、保温効果 | 軽度の変形性膝関節症、膝の不安定感 |
膝装具(ニーブレース) | 関節の安定化、側方動揺の制限 | 靭帯損傷、半月板損傷、中等度の変形性膝関節症 |
足底板(インソール) | 膝への負担軽減、アライメント調整 | O脚やX脚による膝痛、扁平足による膝痛 |
杖・歩行器 | 体重負荷の軽減 | 重度の変形性膝関節症、術後のリハビリ期 |
装具の選択は症状や生活スタイルに合わせて行います。専門医の指導のもと、正しく装着することで効果を最大限に発揮します。市販品を自己判断で使用するよりも、医師の診察を受けて適切な装具を選ぶことをお勧めします。
投薬治療
薬物療法は、膝の痛みや炎症を抑えるために重要な役割を果たします。症状や原因に応じて、さまざまな薬剤を使い分けます。
主な薬剤には以下のようなものがあります:
- 非ステロイド性抗炎症薬(消炎鎮痛剤):ロキソニン、セレコックス、ボルタレンなどが代表的で、痛みと炎症を抑えます。内服薬だけでなく、塗り薬や貼り薬もあり、胃への負担が少ない場合もあります。
- アセトアミノフェン:消炎作用は弱いですが、比較的副作用が少なく、高齢者や胃腸障害のある方にも使いやすい鎮痛薬です。
- 筋弛緩薬:筋肉の緊張を和らげることで、痛みの軽減に役立ちます。
- 関節保護薬:グルコサミンやコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などの成分が含まれる薬剤で、軟骨の修復や保護を助ける効果が期待されます。
薬物療法を行う際は、以下の点に注意する必要があります:
- 薬の効果が出るまでに時間がかかることがあります
- 長期間の使用には胃腸障害などの副作用リスクがあります
- 持病や服用中の薬との相互作用に注意が必要です
- 痛みを一時的に抑えるだけで根本的な治療ではないことを理解しましょう
投薬治療は医師の指示に従って適切に行うことが重要です。自己判断での服用は避け、副作用が現れた場合は速やかに医師に相談しましょう。
注射による治療
内服薬では十分な効果が得られない場合や、より直接的に症状を改善したい場合には、膝関節内への注射治療が効果的です。
ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸は関節液の主成分で、関節の潤滑剤として機能します。加齢や膝の疾患によってヒアルロン酸が減少すると、膝関節の動きがスムーズでなくなり痛みが生じます。
ヒアルロン酸注射の特徴:
- クッション効果:関節内にクッションを作り、骨と骨の衝突を和らげます
- 潤滑効果:関節の滑りを良くし、動きをスムーズにします
- 抗炎症作用:軽度の炎症を抑える効果も期待できます
- 軟骨保護作用:軟骨の変性を遅らせる効果が期待されています
通常、週1回の注射を5回程度行うコースが一般的ですが、症状に応じて回数や頻度を調整します。効果は個人差がありますが、3〜6ヶ月ほど持続することが多いです。変形性膝関節症の初期から中期の症状改善に特に効果的です。
ステロイド注射
強い炎症が見られる場合には、ステロイド注射が選択肢となります。ステロイド薬には強力な抗炎症作用があり、短期間で痛みを軽減する効果があります。
ステロイド注射の特徴:
- 即効性:注射後数日以内に効果が現れることが多いです
- 強い抗炎症作用:激しい炎症を伴う急性期の症状に効果的です
- 一時的な効果:効果は一般的に数週間から数ヶ月持続します
ただし、ステロイド注射には以下のような注意点があります:
- 頻回の使用は軟骨に悪影響を及ぼす可能性があります
- 一般的に年3〜4回程度に制限することが推奨されています
- 糖尿病患者さんでは血糖値が一時的に上昇することがあります
- 感染症がある場合は使用できません
ステロイド注射は、適切な判断のもとで行われれば、強い痛みを短期間で緩和する有効な手段です。特に関節リウマチや痛風発作、滑液包炎などの炎症性疾患に対して効果的です。
PRP療法
PRP(多血小板血漿)療法は、自分の血液から抽出した成長因子を含む血小板濃縮液を膝関節内に注入する治療法です。近年注目されている再生医療の一つです。
PRP療法の特徴:
- 自己由来の成分:自分の血液を使用するため、アレルギー反応のリスクが低いです
- 組織修復促進:成長因子が組織の修復や再生を促進します
- 抗炎症作用:炎症を抑える効果も期待できます
- 長期的効果:効果が6ヶ月以上持続することもあります
PRP療法は特に以下のような状態に効果が期待できます:
- 初期から中期の変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯の部分損傷
- 軟骨損傷
ただし、PRP療法は比較的新しい治療法であり、保険適用外のため自費診療となります。効果には個人差があり、複数回の治療が必要なこともあります。治療を検討される際は、医師と十分に相談することをお勧めします。
手術が必要なケース
保存的治療や注射療法で十分な効果が得られない場合や、特定の病態においては手術治療が検討されます。
関節鏡視下手術
関節鏡視下手術は、小さな切開から内視鏡(関節鏡)を挿入して膝の内部を観察しながら行う低侵襲な手術です。
関節鏡視下手術の適応となる主な症状・疾患:
- 半月板損傷:損傷した半月板の切除や修復を行います
- 軟骨損傷:損傷した軟骨の処置や再生促進処置を行います
- 滑膜炎:炎症を起こした滑膜の切除を行います
- 関節内遊離体:関節内に浮遊している軟骨や骨の破片を取り除きます
- 一部の靭帯損傷:損傷状態によっては修復が可能です
関節鏡視下手術のメリット:
- 傷口が小さく、術後の痛みが少ない
- 入院期間が短い(日帰りや1〜3日程度の短期入院が多い)
- 回復が早く、リハビリテーションを早期に開始できる
- 合併症のリスクが比較的低い
術後は段階的なリハビリテーションを行い、通常2〜3週間で日常生活動作、1〜2ヶ月でスポーツなどの活動復帰が可能になることが多いです。ただし、損傷の程度や手術内容によって回復期間は異なります。
人工関節置換術
変形性膝関節症などで膝関節の変形が高度に進行し、保存的治療では十分な効果が得られない場合、人工関節置換術が検討されます。
人工関節置換術には以下のようなタイプがあります:
- 全人工膝関節置換術(TKA):膝関節全体を人工関節に置き換える手術
- 片側型人工膝関節置換術(UKA):膝関節の内側または外側のみを置き換える手術
- 膝蓋大腿関節置換術:膝蓋骨と大腿骨の関節面のみを置き換える手術
人工関節置換術の適応となる主な状態:
- 高度な変形性膝関節症
- 関節リウマチによる膝関節の破壊
- 外傷後の高度な膝関節変形
- 特定の骨壊死
術後は約1〜2週間の入院が必要で、その後は段階的なリハビリテーションを行います。現在の人工関節は、適切な管理のもとで15〜20年以上の耐久性が期待できます。ただし、年齢や活動量によって耐久年数は異なります。
人工関節置換術を受けた後も、定期的な診察とレントゲン検査で人工関節の状態を確認する必要があります。また、感染予防のため、歯科処置や他の手術の際には抗生物質の予防投与が必要な場合があります。
膝の痛みで歩けない状態になった場合、まずは医療機関を受診し、適切な診断と治療方針を相談することが重要です。当院では患者様のライフスタイルや症状に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。早期の適切な治療は、症状の改善だけでなく、将来的な膝の健康維持にも繋がります。
膝の痛みを予防するための日常生活の工夫
膝の痛みで歩けなくなる前に、日常生活での予防策を取り入れることが重要です。当院では多くの患者さんが膝の痛みを訴えて来院されますが、適切な生活習慣の改善によって痛みの発症を遅らせたり、症状の悪化を防いだりすることが可能です。ここでは膝の健康を維持するための具体的な工夫をご紹介します。
適切な体重管理
体重過多は膝関節への負担を著しく増加させます。実際、体重が1kg増えるごとに、膝にかかる負担は約3〜4kg増加すると言われています。
肥満は変形性膝関節症の主要なリスク因子の一つで、体重管理だけで膝の痛みが改善するケースも少なくありません。適正体重を維持することは、膝関節への負担を軽減する最も効果的な方法の一つです。
当院の患者さんの中には、5kgの減量だけで膝の痛みが劇的に改善された方も多くいらっしゃいます。特に中高年の方は、無理なダイエットではなく、継続可能な食事管理と適度な運動を組み合わせた減量プログラムをお勧めしています。
BMI値 | 判定 | 膝への影響 |
---|---|---|
18.5未満 | 低体重 | 筋力低下による不安定性のリスク |
18.5〜25未満 | 普通体重 | 適正な負荷 |
25〜30未満 | 肥満(1度) | 膝への負担増加 |
30以上 | 肥満(2度以上) | 膝関節症のリスク大幅増加 |
体重管理のポイントは、急激な減量ではなく、1ヶ月に1〜2kg程度の緩やかな減量を目指すことです。食事内容の見直しと合わせて、膝に優しい有酸素運動(水中ウォーキングなど)を取り入れると効果的です。
膝に優しい運動習慣
適切な運動は膝関節の健康維持に不可欠ですが、選ぶ運動の種類が重要です。膝に過度な衝撃を与える運動は避け、関節への負担が少ない運動を習慣化しましょう。
特に推奨される運動として、水中運動は水の浮力によって体重が軽減され、膝への負担が大幅に減少するため、膝に問題を抱える方にとって理想的なエクササイズとなります。
膝に優しい運動の例:
- 水泳(特に平泳ぎは注意が必要)
- 水中ウォーキング
- 自転車(サドルの高さ調整が重要)
- エルゴメーター
- ヨガ(膝を深く曲げるポーズは避ける)
- ピラティス
- ウォーキング(適切な靴選びが重要)
一方で、以下のような運動は膝に大きな負担をかけるため、膝に問題がある方は避けるか、専門家の指導のもとで行うことをお勧めします:
- ジョギング(特に舗装路での長距離走)
- ジャンプを伴う運動
- スクワット(特に深く曲げるもの)
- 階段の上り下りを繰り返す運動
- 長時間の正座
運動を始める前には必ずウォームアップを行い、運動後はクールダウンとストレッチを行うことで、膝関節への負担を軽減できます。運動強度は「会話ができる程度」が目安です。痛みを感じる場合は無理をせず、適宜休息を取りましょう。
正しい姿勢と歩き方
日常生活での姿勢や歩き方は、膝関節の健康に大きく影響します。不良姿勢は膝に不自然な力がかかる原因となり、長期的には膝の痛みを引き起こす可能性があります。
立ち姿勢のポイント
長時間立ち続ける仕事の方は特に注意が必要です。両足に均等に体重をかけ、膝を軽く曲げた状態を保つことで、膝関節への負担を分散させることができます。また、硬い床面では疲労軽減マットの使用も効果的です。
立ち姿勢の具体的なチェックポイント:
- 足は肩幅程度に開く
- 膝を完全に伸ばしきらない(軽く曲げる)
- 骨盤を前傾させず、自然な位置に保つ
- 背筋を伸ばし、顎を引く
- 30分に1回は姿勢を変える
正しい歩き方
歩行時の衝撃は膝に直接伝わります。踵から着地して、足全体で体重を支えるようにしましょう。内股や外股、つま先立ちなどの癖がある場合は、意識して修正することが重要です。
正しい歩行のポイント:
- 踵から着地し、つま先で蹴り出す
- 歩幅は大きすぎず小さすぎないよう調整
- 歩くリズムは一定に保つ
- 腕を自然に振る
- 視線は前方約5m先を見る
適切な靴選び
膝の健康を考える上で靴選びは非常に重要です。クッション性が良く、足のアーチをサポートする靴を選びましょう。特に歩く機会が多い方は、ウォーキングシューズなど目的に合った靴の使用をお勧めします。
靴選びのポイント:
項目 | 選ぶべき特徴 | 避けるべき特徴 |
---|---|---|
クッション性 | 適度なクッションがある | 硬すぎる・柔らかすぎる |
アーチサポート | 足の形状に合った中敷き | サポートがない平らな靴 |
ヒール | 3cm以下の低めのヒール | 高すぎるヒール |
靴幅 | 足に合ったもの | 窮屈すぎる・緩すぎる |
重量 | 軽量なもの | 重たい靴 |
また、靴は歩行時の衝撃吸収能力が徐々に低下するため、使用頻度にもよりますが、6ヶ月から1年程度での交換を検討しましょう。
膝をサポートする筋トレ方法
膝関節を支える筋肉を強化することは、膝の痛み予防に非常に効果的です。特に大腿四頭筋(太ももの前面の筋肉)とハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)のバランスよい強化が重要です。
筋力トレーニングは痛みを感じない範囲で行い、徐々に強度を上げていくことが継続のコツです。当院では患者さんの状態に合わせた個別のエクササイズプログラムをご提案しています。
初心者向け膝サポート筋トレ
痛みがある方や運動習慣がない方は、まずこれらの基本的なエクササイズから始めましょう:
- 座位膝伸ばし:椅子に座った状態から片足ずつ膝を伸ばし、5秒キープ。10回×3セット
- 壁スクワット:壁に背中をつけて腰を下ろし、膝が90度になるところで30秒キープ。3回
- カーフレイズ:壁や椅子につかまりながらつま先立ちを繰り返す。20回×2セット
- 足上げ:仰向けになり、片足をまっすぐ上げ10秒キープ。両足10回ずつ
中級者向け筋力トレーニング
基本的なエクササイズに慣れてきたら、次のステップに進みましょう:
- ブリッジ:仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる。10秒キープ×10回
- サイドレッグレイズ:横向きに寝て、上側の脚を上げ下げする。15回×2セット
- ステップアップ:低い台を使って昇り降りを繰り返す。左右10回ずつ
- ハーフスクワット:膝が90度より浅い角度でのスクワット。15回×3セット
トレーニングを行う際の注意点:
- 痛みを感じたらすぐに中止する
- 正しいフォームを常に意識する
- 急激な負荷増加は避ける
- トレーニング後は十分に休息をとる
- 週に2〜3回程度が適切な頻度
当院でのリハビリ指導では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた筋力トレーニングプログラムをご提案しています。膝の痛みがある方は、まず専門家の指導を受けることをお勧めします。
日常生活に取り入れられる簡単エクササイズ
忙しい日常の中でも取り入れやすい、膝周りの筋肉を鍛えるエクササイズをご紹介します:
- TVを見ながらのもも上げ:座ったままでも可能
- 歯磨き中のふくらはぎ上げ:洗面台につかまりながらつま先立ちを繰り返す
- 電車やバスでの立ち乗り中の姿勢保持:膝を軽く曲げて、バランスを取りながら立つ
- 家事の合間のミニスクワット:少しだけ膝を曲げ伸ばしする動作を10回程度
これらの簡単なエクササイズを日常生活に取り入れることで、膝周りの筋肉を無理なく強化することができます。継続が何より重要ですので、ご自身のライフスタイルに合わせた方法を見つけてください。
膝の痛みを予防するための日常生活の工夫は、体重管理、適切な運動習慣、正しい姿勢と歩き方、そして膝をサポートする筋力トレーニングが基本となります。これらの取り組みを継続することで、膝の健康を長期的に維持し、痛みのない生活を送ることができるでしょう。
また、すでに膝に痛みを感じている場合は、自己判断での運動は避け、まずは当院などの整形外科を受診し、適切な指導を受けることをお勧めします。一人ひとりの状態に合わせた予防策を取り入れることが、膝の健康維持への近道です。
膝の痛みを和らげる食事と栄養素
膝の痛みで歩けない状態を改善するためには、適切な食事や栄養素の摂取が大きな役割を果たします。当院では多くの患者さんに食事の改善を指導することで、薬物療法や理学療法との相乗効果を高めています。炎症を抑え、軟骨の修復を促す栄養素を日常的に摂取することで、膝の痛みの軽減に繋がる可能性があります。
抗炎症作用のある食品
膝の痛みの多くは炎症が関与しています。炎症を抑える効果が期待できる食品を積極的に摂取することで、痛みの軽減につながる可能性があります。
オメガ3脂肪酸は強い抗炎症作用を持つことで知られています。青魚(さば、さんま、いわしなど)やえごま油、亜麻仁油に多く含まれています。特に変形性膝関節症や関節リウマチの患者さんには、積極的な摂取をおすすめしています。
オメガ3脂肪酸を多く含む食品 | 100g当たりの含有量 | 摂取方法の工夫 |
---|---|---|
さば | 約2.6g | 味噌煮や塩焼きで週2回程度 |
さんま | 約2.2g | 塩焼きや蒲焼で |
えごま油 | 約60g | 加熱せず、かけるだけで小さじ1杯から |
亜麻仁油 | 約53g | サラダやヨーグルトにかけて |
また、ウコン(クルクミン)も抗炎症作用が注目されている食材です。カレーの原料として知られていますが、単体でも摂取でき、膝の痛みを和らげる効果が期待できます。
抗酸化物質を含む食品も炎症の軽減に役立ちます。ビタミンCやEを豊富に含む果物や野菜、ポリフェノールを含むベリー類、カカオなどが該当します。特にブルーベリーやラズベリーなどのベリー類には強い抗酸化作用があります。
当院に通われる患者さんの中には、抗炎症作用のある食品を積極的に取り入れることで、薬の量を減らせたという方も少なくありません。ただし、効果には個人差があることをご理解ください。
軟骨の健康をサポートする栄養素
膝の痛みは軟骨の摩耗や損傷が原因となることが多いため、軟骨の健康を維持・改善する栄養素の摂取が重要です。
グルコサミンとコンドロイチンは軟骨の主要成分であり、関節の滑らかな動きをサポートします。これらは体内でも合成されますが、加齢とともに生成量が減少するため、食品からの摂取が重要になります。エビやカニの殻、軟骨を含む肉類(鶏の軟骨など)に多く含まれています。
コラーゲンも軟骨の重要な構成成分です。鶏皮、魚の皮、豚足などに多く含まれています。コラーゲンの吸収を高めるためにはビタミンCと一緒に摂取することが効果的です。例えば、鶏手羽先と野菜のスープは、コラーゲンとビタミンCの両方を摂取できる優れた食事と言えます。
当院では、変形性膝関節症の患者さんに対して、特に以下の栄養素を含む食品の摂取をお勧めしています:
栄養素 | 主な食品源 | 期待される効果 |
---|---|---|
グルコサミン | エビ、カニの殻、きのこ類 | 軟骨の修復と再生をサポート |
コンドロイチン | 牛や豚の軟骨、鮫の軟骨 | 関節の潤滑作用と衝撃吸収を改善 |
コラーゲン | 鶏皮、豚足、魚の皮 | 軟骨組織の強化と弾力性の維持 |
MSM(メチルスルフォニルメタン) | たまねぎ、にんにく、キャベツ | 関節の炎症を抑制し、痛みを緩和 |
ビタミンC | いちご、キウイ、柑橘類 | コラーゲン生成を促進 |
特にMSM(メチルスルフォニルメタン)は、比較的新しく注目されている栄養素で、関節痛を緩和する効果が期待されています。たまねぎやにんにく、キャベツなどに含まれています。
また、ビタミンDも骨や軟骨の健康維持に不可欠です。日光浴で体内でも生成されますが、特に高齢者や日光を浴びる機会の少ない方は、鮭、さんま、卵黄などの食品からの摂取を心がけるとよいでしょう。
サプリメントの選び方と注意点
食事だけで十分な栄養素を摂取することが難しい場合は、サプリメントの利用も一つの選択肢です。しかし、サプリメントは医薬品ではなく、効果には個人差があります。また、不適切な使用は健康上のリスクをもたらす可能性もあります。
サプリメントを選ぶ際の注意点として、以下が挙げられます:
- 信頼できるメーカーの製品を選ぶ:品質管理がしっかりしているメーカーの製品を選びましょう。
- 成分表示を確認する:含有量や添加物を確認し、必要な成分が適切な量含まれているかをチェックしましょう。
- 服用中の薬との相互作用に注意:特に抗凝固薬やホルモン剤などと一緒に摂取する場合は、医師に相談してください。
- 過剰摂取を避ける:「多ければ良い」というわけではありません。推奨量を守りましょう。
- 継続的に使用する:効果を実感するには一定期間の継続が必要です。すぐに効果が現れない場合でも、最低でも2〜3ヶ月は継続することをお勧めします。
当院では、特に次のようなサプリメントを検討される患者さんが多いです:
サプリメントの種類 | 主な成分 | 適した症状 | 注意点 |
---|---|---|---|
グルコサミン・コンドロイチン複合体 | グルコサミン、コンドロイチン硫酸 | 変形性膝関節症 | 効果の実感には3ヶ月程度かかることが多い |
コラーゲンペプチド | 加水分解コラーゲン | 軟骨の摩耗による痛み | ビタミンCと一緒に摂取すると効果的 |
ウコン(クルクミン) | クルクミン | 関節の炎症性疾患 | 胃腸障害を起こすことがある |
MSMサプリメント | メチルスルフォニルメタン | 関節痛全般 | アレルギー反応が出ることがある |
オメガ3脂肪酸 | EPA、DHA | 炎症性の膝痛 | 抗凝固薬との併用に注意 |
なお、サプリメントを利用する際は、必ず医師や薬剤師に相談することをお勧めします。当院でも患者さんの状態に合わせた適切なアドバイスを行っていますので、お気軽にご相談ください。
実際の食事プランの例
膝の痛みに配慮した食事プランの一例をご紹介します。これらは当院の栄養指導で実際に患者さんに提案している内容の一部です:
朝食の例:
- 納豆とめかぶのご飯(カルシウムとビタミンK)
- 焼き鮭(ビタミンDとオメガ3脂肪酸)
- ほうれん草のお浸し(抗酸化物質)
- みかん(ビタミンC)
昼食の例:
- 鶏手羽先とたっぷり野菜のスープ(コラーゲンとビタミン類)
- 雑穀ご飯(ミネラル類)
- ひじきの煮物(カルシウム)
- ブルーベリー(抗酸化物質)
夕食の例:
- さばの味噌煮(オメガ3脂肪酸)
- 根菜の煮物(食物繊維と抗酸化物質)
- 水菜とクルミのサラダ(ビタミン類とオメガ3脂肪酸)
- 豆腐とわかめの味噌汁(大豆イソフラボンとミネラル)
この食事プランは、炎症を抑え、軟骨の健康をサポートする栄養素をバランスよく摂取できるように工夫されています。もちろん個人の好みや体質に合わせてアレンジすることをお勧めします。
膝の痛みの改善には、適切な食事の継続が重要です。急激な効果を期待するのではなく、日々の習慣として取り入れていくことで、徐々に膝の状態が改善していくことを期待できます。また、食事療法は他の治療法と組み合わせることで、より効果的になります。
膝の痛みでお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。患者さん一人ひとりの状態に合わせた食事アドバイスを含む、総合的な治療プランをご提案いたします。
よくある質問
膝の痛みはどのくらいで治りますか?
膝の痛みの回復期間は原因となる疾患や状態によって大きく異なります。一般的な目安をご紹介します。
原因疾患 | 一般的な回復期間 | 回復のポイント |
---|---|---|
軽度の捻挫 | 1〜2週間 | 適切な休息と冷却 |
半月板損傷(軽度) | 4〜6週間 | リハビリテーションの継続 |
変形性膝関節症 | 継続的な管理が必要 | 定期的な通院と自己管理 |
膝蓋腱炎 | 6週間〜3ヶ月 | 適切なストレッチと負荷調整 |
重要なのは、自己判断での回復期間の見積もりは危険だということです。必ず医療機関で適切な診断を受け、医師の指示に従いましょう。痛みの度合いや症状の変化に応じて、回復期間は個人差があります。
また、リハビリテーションをしっかり行うことで回復期間が短縮されることもあります。逆に、適切な治療を受けずに放置したり、無理に動かし続けたりすると、慢性化して長期間の痛みに悩まされることになります。
膝の痛みで歩けない時に無理して歩いても大丈夫?
結論から言うと、歩けないほどの膝の痛みがある場合は、無理をして歩くべきではありません。その理由は以下の通りです:
- 症状の悪化につながる可能性がある
- 組織のさらなる損傷を引き起こす恐れがある
- 炎症が増悪して回復期間が長引く
- 代償動作(痛みをかばった不自然な歩行)により他の部位に負担がかかる
特に注意が必要なのは、痛みを我慢して歩き続けることで、本来の歩行パターンが崩れ、腰や反対側の膝、足首などに新たな問題が生じる可能性があることです。
痛みが強い場合は、医療機関を受診するまでの間、松葉杖やサポーターなどの補助具を利用して患部への負担を軽減しましょう。また、受診するまでの応急処置としてRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を行うことも有効です。
膝の痛みを放置するとどうなりますか?
膝の痛みを放置することは、様々な悪影響をもたらす可能性があります。以下に主な影響をまとめました:
- 症状の悪化:初期段階では軽度だった痛みが徐々に悪化し、日常生活に大きな支障をきたすようになります。
- 組織のさらなる損傷:例えば、初期の半月板損傷が放置されると、損傷部分が広がり、治療が複雑になることがあります。
- 慢性痛への移行:急性の痛みが適切に治療されないと、神経系の変化により慢性的な痛みとして定着することがあります。
- 関節の変形:特に変形性膝関節症では、早期治療の機会を逃すと、関節の変形が進行し、日常生活動作が著しく制限されることがあります。
- 筋力低下と機能障害:痛みを避けるために動かさないでいると、周囲の筋肉が衰え、さらに関節の不安定性が増すという悪循環に陥ります。
初期症状の段階で適切な対応をすることで、これらの悪影響を防ぎ、より短期間で効果的な治療が可能になります。特に「様子を見よう」と思って放置してしまいがちな以下のような症状は注意が必要です:
- 朝起きた時の膝のこわばり
- 階段の上り下りでのみ感じる痛み
- 長時間の歩行後にのみ現れる軽い腫れ
- 時々感じる膝の引っかかり感や不安定感
これらの症状を感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。
膝の痛みに効くストレッチはありますか?
膝の痛みを和らげるためのストレッチは、原因となる疾患や状態によって適切なものが異なります。以下に、一般的に膝周囲の筋肉の柔軟性を高め、膝への負担を軽減するストレッチをご紹介します。ただし、強い痛みがある場合や、ストレッチ中に痛みが増す場合は中止し、医師に相談してください。
大腿四頭筋(太ももの前面)のストレッチ
膝の前面の痛みに効果的なストレッチです:
- 壁や椅子に片手をついて立ちます
- ストレッチしたい側の足首を同じ側の手で持ちます
- かかとをお尻に近づけるように引き寄せます
- 太ももの前面に心地よい伸びを感じる位置で20〜30秒間保持します
- ゆっくりと元の姿勢に戻し、反対側も同様に行います
ハムストリングス(太ももの裏側)のストレッチ
膝の裏側の緊張を和らげるのに効果的です:
- 椅子に座り、ストレッチしたい脚を前に伸ばします
- 足首を手前に曲げ(つま先を天井方向に)、背筋を伸ばします
- 腰から前傾し、太ももの裏側に伸びを感じるところまで体を倒します
- 無理せず、20〜30秒間保持します
- ゆっくりと元の姿勢に戻し、反対側も同様に行います
ふくらはぎのストレッチ
膝への負担を軽減するために重要です:
- 壁から一歩離れて立ち、両手を壁につきます
- 片足を後ろに引き、かかとをしっかり床につけます
- 後ろ足の膝を伸ばしたまま、前の膝を少し曲げます
- 後ろ足のふくらはぎに伸びを感じる位置で20〜30秒間保持します
- ゆっくりと元の姿勢に戻し、反対側も同様に行います
これらのストレッチは、痛みがない状態で、入浴後など筋肉が温まっている時に行うとより効果的です。また、急に強くストレッチするのではなく、徐々に筋肉を伸ばしていくことが大切です。
なお、膝の痛みの原因によっては、特定のストレッチが禁忌となる場合もあります。例えば、急性の炎症や外傷直後には安静が優先されます。自己判断でのストレッチに不安がある場合は、理学療法士や整形外科医に相談し、適切な指導を受けることをお勧めします。
まとめ
膝の痛みで歩けなくなる原因は多岐にわたります。変形性膝関節症や半月板損傷、前十字靭帯損傷などの外傷性疾患、関節リウマチや痛風などの炎症性疾患が主な原因です。痛みを感じたら、まずはRICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)を行い、症状が改善しない場合は整形外科を受診しましょう。診断には、レントゲンやMRI検査が有効で、症状に応じて保存的治療から手術まで様々な治療法があります。日常生活では適切な体重管理や膝に優しい運動習慣を心がけ、正しい姿勢と歩き方を意識することが大切です。また、抗炎症作用のある食品摂取や軟骨の健康をサポートする栄養素も効果的です。膝の痛みは放置すると悪化する可能性があるため、違和感を感じたら早めの対処が重要です。痛みが取れない、違和感があるなどお困りごとがありましたら当院へご相談ください。
