帯状疱疹の予防接種は整形外科で!費用や効果・副作用を解説

50歳を超えると発症リスクが急上昇する帯状疱疹。後遺症で苦しむ方も多い病気ですが、予防接種でリスクを減らすことができます。実は、整形外科でも帯状疱疹の予防接種を受けることができるんです。この記事では、帯状疱疹の予防接種を整形外科で受けるメリットや費用、気になる効果や副作用、注意点まで詳しく解説していきます。ワクチンには2種類あり、それぞれの特徴や費用が異なります。どちらのワクチンを選べば良いか迷っている方も、ぜひ参考にしてみてください。

1. 整形外科で帯状疱疹の予防接種ができるってホント?

1.1 実は受けられる医療機関の一つなんです

「帯状疱疹の予防接種を受けたいけど、どこに行けばいいか分からない…」

そうお悩みの方は少なくないのではないでしょうか?

帯状疱疹の予防接種は、内科や皮膚科のイメージが強いかもしれませんが、実は整形外科でも受けられる場合があります。

整形外科は、骨・関節・筋肉などの運動器系の治療を専門とする診療科ですが、近年では、ワクチン接種などの予防医療にも力を入れている医療機関が増えています。

整形外科で帯状疱疹の予防接種を受けるメリットとしては、

  • 比較的予約が取りやすい
  • 待ち時間が短い

などが挙げられます。

ただし、すべての整形外科で帯状疱疹の予防接種を行っているわけではありません。事前に電話や医療機関のウェブサイトで確認することが大切です。

また、整形外科以外の医療機関でも、帯状疱疹の予防接種は広く行われています。他の医療機関と比較して、ご自身にとって通いやすい場所や、信頼できる医師がいる医療機関を選ぶようにしましょう。

以下は、帯状疱疹の予防接種を行っている医療機関の例です。

  • 内科
  • 皮膚科
  • 総合病院

帯状疱疹の予防接種は、50歳以上の方や、免疫力が低下している方におすすめです。気になる方は、一度医療機関に相談してみましょう。

2. 帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染によって引き起こされる病気です。VZVは、水ぼうそうを引き起こすウイルスと同じものです。子供の頃に水ぼうそうにかかると、VZVは体内の神経節に潜伏し続けます。そして、加齢や免疫力の低下などをきっかけに、VZVが再び活性化することで帯状疱疹を発症します。

2.1 症状

帯状疱疹の初期症状として、体の片側にピリピリとした痛みやかゆみ、違和感などが現れます。その後、赤い斑点や水ぶくれが帯状に現れます。水ぶくれは数日かけてかさぶたになり、通常2~4週間で治癒します。しかし、痛みは水ぶくれが治った後も続くことがあり、これを「帯状疱疹後神経痛」と呼びます。

2.2 合併症

帯状疱疹は、場合によっては重症化し、合併症を引き起こすことがあります。特に、高齢者や免疫力が低下している人は注意が必要です。

2.2.1 主な合併症

  • 帯状疱疹後神経痛
  • 視力障害(顔面に発症した場合)
  • 髄膜炎
  • 肺炎

2.3 放置すると後遺症が残ることも

帯状疱疹は早期に治療することが重要です。特に、帯状疱疹後神経痛は、放置すると慢性的な痛みが残り、生活の質を著しく低下させる可能性があります。帯状疱疹の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

2.4 治療法

帯状疱疹の治療は、抗ウイルス薬の投与が中心となります。また、痛みを抑えるために、鎮痛薬やステロイド薬などが処方されることもあります。

2.5 予防

帯状疱疹は、ワクチンを接種することで予防することができます。帯状疱疹ワクチンには、弱毒生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。ワクチンの種類や接種時期、費用などについては、医療機関にご相談ください。

3. 帯状疱疹の予防接種が必要な理由

帯状疱疹は、年齢とともに発症リスクが高くなる病気として知られています。50歳を過ぎると発症リスクが上がり始め、80歳までに約3人に1人が発症すると言われています。これは、加齢に伴い免疫力が低下することで、体内に潜伏している水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化しやすくなるためです。

帯状疱疹は、皮膚に赤い発疹や水ぶくれが現れるだけでなく、強い痛みを伴うことが特徴です。痛みは神経に沿って起こるため、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる後遺症が残ってしまうこともあります。帯状疱疹後神経痛は、発症から数か月から数年、場合によっては一生続くこともあり、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

3.1 年齢によるリスクの変化

帯状疱疹は、子供に多い水ぼうそうと同じウイルスによって引き起こされます。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体の中の神経節に潜伏し続けます。そして、免疫力が低下するとウイルスが再び活性化し、帯状疱疹を発症します。免疫力は一般的に加齢とともに低下するため、高齢になるほど帯状疱疹のリスクが高まります。

年齢帯状疱疹発症リスク(生涯における)
50歳未満約10%
50歳代約20%
60歳代約30%
70歳代約40%
80歳以上約50%

3.2 重症化のリスク因子

高齢であることに加えて、以下の様な要因を持つ方は、帯状疱疹が重症化しやすいため、予防接種が特に推奨されます。

  • 免疫力が低下している病気(HIV感染症、白血病、悪性リンパ腫など)や治療を受けている方
  • 臓器移植を受けた方
  • ステロイド剤や免疫抑制剤を服用している方

3.3 予防接種の重要性

帯状疱疹は、ワクチンを接種することで発症リスクを抑え、発症した場合の症状を軽くすることができます。帯状疱疹後神経痛の発症リスクも低下させることが期待できます。そのため、特に高齢者や基礎疾患を持つ方など、リスクの高い方は予防接種を検討することが重要です。

帯状疱疹ワクチンには、従来の生ワクチンと、新しいタイプの不活化ワクチンがあります。それぞれ効果や費用、副反応などが異なるため、医師と相談の上、自分に合ったワクチンを選択しましょう。

4. 帯状疱疹の予防接種の効果と種類

帯状疱疹の予防接種には、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。それぞれ効果や特徴が異なるため、どちらのワクチンがご自身に合っているのか、医師とよく相談した上で決めることが大切です。

4.1 効果が高いと言われているのは?

現在、日本で予防接種として使用されている帯状疱疹ワクチンは、水痘・帯状疱疹ウイルスワクチン生(水痘・帯状疱疹ウイルス Oka 株)と帯状疱疹ワクチン(遺伝子組換え)の2種類です。従来は弱毒化した生ウイルスを用いる「生ワクチン」が主流でしたが、2020年からはウイルスの遺伝子組み換え技術を用いた「不活化ワクチン」も登場しました。それぞれのワクチンには、以下のような特徴があります。

4.1.1 生ワクチン

  • 1回の接種で済む
  • 費用が比較的安価
  • 効果の発現までに時間がかかる
  • 効果の持続期間が短い
  • 副反応が出やすい
  • 免疫力の低い人は接種できない

4.1.2 不活化ワクチン

  • 2回の接種が必要
  • 費用が比較的高価
  • 効果の発現が早い
  • 効果の持続期間が長い
  • 副反応が少ない
  • 免疫力の低い人でも接種できる場合がある

一般的に、不活化ワクチンのほうが、予防効果が高く、持続期間も長いとされています。また、副反応も生ワクチンに比べて少ない傾向にあります。そのため、近年では不活化ワクチンを選択する人が増えています。ただし、不活化ワクチンは2回の接種が必要で、費用も高額になるというデメリットもあります。どちらのワクチンを選択するかは、年齢や健康状態、費用などを考慮して、医師とよく相談の上で決定しましょう。重要なのは、予防効果を得るためには、推奨される回数、間隔でのワクチン接種を完了することです。接種スケジュールについては、医療機関にご確認ください。

4.2 それぞれのワクチンの特徴

項目水痘・帯状疱疹ウイルスワクチン生(水痘・帯状疱疹ウイルス Oka 株)帯状疱疹ワクチン(遺伝子組換え)
ワクチン種類生ワクチン不活化ワクチン
接種回数1回2回(0ヶ月後、1~6ヶ月後)
接種対象年齢12歳以上50歳以上
有効性
(50歳以上における発症予防効果)
約50%
※発症した場合の症状の軽減効果は約60%
約90%
※発症した場合の神経痛への移行を抑制する効果も高い
副反応注射部位の発赤、腫れ、痛みなど
まれに、発熱、発疹など
注射部位の痛み、発赤、腫脹、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、発熱、関節痛、悪心、胃不適など
費用(目安)約7,000円~10,000円約20,000円~30,000円(2回接種)

※費用は医療機関によって異なります。

帯状疱疹の予防接種は、健康保険の適用外で全額自己負担となりますが、市区町村によっては、高齢者を対象に助成制度を設けている場合があります。助成制度の有無や詳細については、お住まいの市区町村の窓口にお問い合わせください。また、一部の企業では、従業員向けの福利厚生として、予防接種の費用を補助している場合があります。会社員の方は、人事部や福利厚生担当者に確認してみましょう。

5. 帯状疱疹の予防接種の費用

帯状疱疹の予防接種にかかる費用は、公費接種か自費接種か、ワクチンの種類によって異なります。費用の目安や、公費で接種できる条件などを知っておきましょう。

5.1 公費接種の場合

帯状疱疹の予防接種は、市区町村によっては公費で受けられる場合があります。公費で接種できる場合、自己負担額は大きく抑えられます。

5.1.1 公費接種対象者

公費接種の対象となる人は、市区町村によって異なりますが、一般的には以下の条件を満たす人が多いです。

  • 年齢が一定以上の人(例:50歳以上、65歳以上など)
  • 帯状疱疹を発症するリスクが高いと医師に判断された人

正確な対象年齢や条件は、お住まいの地域の市区町村のホームページなどで確認するか、直接問い合わせてみましょう。

5.1.2 公費接種の場合の自己負担額

公費接種の場合の自己負担額は、市区町村やワクチンの種類によって異なりますが、一般的には1,000円〜5,000円程度です。一部の市区町村では、無料で接種できる場合もあります。

5.2 自費接種の場合

公費接種の対象外となる場合や、公費接種を実施していない市区町村に住んでいる場合は、全額自己負担で接種する「自費接種」となります。

5.2.1 自費接種の場合の費用

自費接種の場合の費用は、医療機関やワクチンの種類によって異なりますが、一般的には以下の通りです。

ワクチンの種類費用相場
乾燥弱毒生水痘ワクチン7,000円〜10,000円程度
帯状疱疹ワクチン15,000円〜20,000円程度

費用には、診察料や注射費用などが含まれている場合と、別途必要となる場合があります。事前に医療機関に確認しておきましょう。また、ワクチンは2回接種が必要な場合があり、その場合は費用も2倍になる点に注意が必要です。

5.2.2 助成制度について

自費接種の場合でも、市区町村によっては助成制度を設けている場合があります。助成を受けるための条件や手続きは市区町村によって異なるため、事前に確認しておきましょう。例えば、東京都港区では、65歳以上の住民を対象に、帯状疱疹ワクチンの接種費用の一部を助成する制度があります

5.3 費用を抑えて接種する方法

帯状疱疹の予防接種は、公費接種や助成制度を利用することで費用を抑えて接種することができます。これらの制度を積極的に活用し、経済的な負担を軽減しましょう。

また、健康保険組合によっては、補助金制度を設けている場合があります。加入している健康保険組合に問い合わせてみましょう。

6. 帯状疱疹の予防接種の副作用

帯状疱疹の予防接種は、多くの場合安全に接種できますが、他のワクチンと同様に、副作用が起こる可能性があります。ほとんどは軽度で、短期間で治まります。しかし、まれに重い副作用が起こることもあります。接種を受ける前に、どのような副作用が起こり得るかを知っておくことが大切です。

6.1 起こる可能性のある症状

帯状疱疹の予防接種で起こる可能性のある主な副作用は以下の通りです。

  • 接種部位の反応:痛み、腫れ、赤み
  • 全身症状:発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛
  • 消化器症状:吐き気、嘔吐、下痢
  • 皮膚症状:発疹、かゆみ
  • 神経症状:しびれ、めまい

これらの副作用は、通常は数日以内に自然に消失します。痛みが気になる場合は、市販の痛み止めを使用しても構いません。ただし、症状が長引いたり、悪化したりする場合は、医療機関を受診してください。

6.2 重い副作用が出た場合は

重い副作用はまれですが、以下のような症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。

  • 呼吸困難
  • 意識障害
  • 顔面、口唇、舌の腫れ
  • じんましん
  • 全身の痙攣

また、アナフィラキシーショックと呼ばれる重いアレルギー反応が起こることがあります。アナフィラキシーショックは、接種後数分から数時間以内に起こることが多く、以下のような症状が現れます。

  • 皮膚:じんましん、かゆみ、赤み、腫れ
  • 呼吸器:息苦しさ、喘鳴、声がれ
  • 循環器:脈拍の異常、血圧低下、意識消失
  • 消化器:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢

アナフィラキシーショックは命に関わる可能性もあるため、上記の症状が出た場合は直ちに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。

6.3 ワクチンの種類と副作用

帯状疱疹の予防接種には、弱毒生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があります。それぞれのワクチンで、起こりやすい副作用が異なります。

ワクチンの種類主な副作用
弱毒生ワクチン(水痘・帯状疱疹ウイルス生ワクチン)接種部位の発赤、腫れ、痛み 発熱 発疹
不活化ワクチン(帯状疱疹サブユニットワクチン)接種部位の痛み、腫れ、赤み 頭痛 筋肉痛 倦怠感

一般的に、弱毒生ワクチンよりも不活化ワクチンのほうが、副作用の発現頻度は低いとされています。ただし、どちらのワクチンも、安全性は十分に確認されています。副作用について不安な場合は、医師に相談の上、接種するかどうかを決めましょう。

6.4 副作用に関する情報収集

予防接種を受ける際は、最新の情報を収集することが大切です。厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)のウェブサイトなどで、ワクチンに関する情報提供が行われています。接種前に、これらの情報を参考に、疑問点があれば医療従事者に相談するようにしましょう。

帯状疱疹の予防接種は、帯状疱疹とその合併症のリスクを減らすための有効な手段です。副作用について正しく理解し、安心して接種を受けるようにしましょう。

7. 帯状疱疹の予防接種を受ける際の注意点

帯状疱疹の予防接種は、正しく理解し、注意点に留意することで、より安全に効果を得ることができます。接種前に確認すべきことや、接種後の注意点などを詳しく見ていきましょう。

7.1 体調管理

予防接種を受ける際は、健康な状態であることが大切です。風邪の症状や発熱がある場合は、接種を延期しましょう。持病がある場合や、過去に予防接種で重いアレルギー反応を起こした経験がある場合は、必ず医師に伝え、指示に従ってください。

7.2 医師への申告

  • 現在服用中の薬がある
  • 妊娠の可能性がある、または授乳中である
  • 免疫力が低下する病気にかかっている、または治療を受けている

上記に当てはまる場合は、必ず医師に伝えてください。医師は、あなたの健康状態や体質を考慮し、予防接種の可否や時期を判断します。自己判断はせず、必ず医師に相談するようにしましょう。

7.3 接種後の注意点

接種後は、副反応に備え、15~30分ほど接種会場で安静に過ごします。また、接種当日は激しい運動や飲酒は避け、十分な休息をとりましょう。入浴は問題ありませんが、接種部位を強くこすらないように注意してください。まれに、発熱や接種部位の腫れ、痛みなどの副反応が現れることがあります。ほとんどの場合、数日以内に治まりますが、症状が長引いたり、強い症状が現れたりする場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

7.4 その他の注意点

帯状疱疹の予防接種は、100%発症を防ぐものではありません。接種後も、帯状疱疹の症状が出ることがあります。また、予防接種の効果は永続的なものではなく、時間の経過とともに低下していくことが知られています。そのため、定期的な接種が推奨される場合があります。医師の指示に従い、予防接種を受けましょう。

7.5 ワクチンの種類と選択

帯状疱疹の予防接種には、従来の水痘生ワクチンと、新しいタイプの不活化ワクチンがあります。それぞれのワクチンには、効果、費用、副反応などに違いがあります。医師と相談し、自分に合ったワクチンを選択することが大切です。

ワクチンの種類効果費用副反応
水痘生ワクチン比較的低い安価比較的多い
不活化ワクチン高い高価少ない

詳しくは、厚生労働省のウェブサイトなどを参照してください。

8. まとめ

今回は、整形外科で受けられる帯状疱疹の予防接種について解説しました。帯状疱疹は、加齢とともに発症リスクが高まる病気です。後遺症が残る可能性もあるため、予防が重要になります。予防接種には、効果が高いとされる「シングリックス」と従来の「水痘生ワクチン」の2種類があります。費用は健康保険の適用外ですが、自治体によっては助成制度がある場合もあります。予約が必要な場合もあるため、事前に医療機関に確認しておきましょう。