「五十肩になったらロキソニンを飲めばいい」と思っていませんか?実は、ロキソニンは五十肩の痛みの根本的な解決にならないことが多いんです。この記事では、その理由を医師が監修した情報をもとに詳しく解説していきます。五十肩の痛みがなぜロキソニンだけで治らないのか、そのメカニズムを知って、適切な治療法を見つけるための第一歩を踏み出しましょう。五十肩の症状や進行段階、ロキソニン以外の治療法についても詳しく解説しているので、ご自身に合った治療法を見つけるための参考になるはずです。
1. ロキソニンは五十肩に効果がない?
「五十肩になったらロキソニン」そう思っていませんか?確かにロキソニンは痛みを和らげる効果の高い薬ですが、残念ながら五十肩の根本的な治療になるわけではありません。ここでは、ロキソニンの効果と限界、そして五十肩の痛みの原因について詳しく解説していきます。
1.1 ロキソニンの効果と限界
ロキソニンは「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」と呼ばれる種類の薬に分類されます。NSAIDsは炎症を抑え、痛みや発熱を和らげる効果があります。そのため、五十肩によって引き起こされる炎症や痛みにも効果を発揮します。
しかし、ロキソニンはあくまで症状を一時的に抑える対症療法であり、五十肩の原因そのものを取り除くことはできません。つまり、ロキソニンを飲んだからといって五十肩が治るわけではないのです。
1.2 五十肩の痛みの原因は?
五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。肩関節周囲の組織に炎症が生じたり、組織が癒着したりすることで、肩の痛みや動きの制限が起こります。五十肩の痛みの原因は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 炎症
- 関節包の拘縮
- 筋肉の緊張
ロキソニンは炎症を抑える効果がありますが、関節包の拘縮や筋肉の緊張には直接働きかけることができません。そのため、ロキソニンを飲んでも痛みが全く引かない、あるいは一時的に改善してもすぐに痛みがぶり返してしまうといったことが起こり得るのです。
また、五十肩の痛みの原因は一つとは限らず、これらの要素が複合的に作用している場合も少なくありません。そのため、それぞれの原因に合わせた適切な治療を行うことが重要になります。
2. 五十肩の痛みがロキソニンで治らない理由
五十肩の痛みは、ロキソニンなどの鎮痛剤である程度抑えられることもありますが、必ずしも効果があるとは限りません。むしろ、ロキソニンを飲んでも痛みが改善しない場合、その背景には五十肩の進行過程や痛みのメカニズムが関係している可能性があります。
2.1 炎症が治まっても痛みが残る理由
五十肩の初期には、肩関節周囲の組織に炎症が生じ、強い痛みを感じることがあります。この時期にロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用すると、炎症を抑え、痛みを軽減する効果が期待できます。しかし、五十肩が進行すると、炎症が治まっても肩関節周囲の組織が硬くなり、関節の動きが悪くなることで痛みが続くことがあります。このような場合、ロキソニンなどの鎮痛剤だけでは十分な効果が得られないことがあります。
2.2 五十肩の進行過程と痛みの変化
五十肩は、一般的に以下の3つのステージに分けられます。
ステージ | 期間 | 症状 | ロキソニンの効果 |
---|---|---|---|
急性期 | 発症から2週間程度 | 強い痛み、炎症、夜間痛、安静時痛 | 効果あり |
慢性期 | 2週間~6か月程度 | 痛みの軽減、関節の動きが悪くなる(拘縮)、運動時痛 | 効果が薄れる |
回復期 | 6か月~2年程度 | 痛みがほとんどなくなる、関節の動きが徐々に回復 | 効果なし |
このように、五十肩の進行過程によって痛みの種類や程度が変わってきます。そのため、ロキソニンの効果もステージによって異なってくるのです。
特に、慢性期に移行すると、関節の動きが悪くなることで痛みが生じるため、ロキソニンなどの鎮痛剤だけでは十分な効果が得られないことが多くなります。慢性期には、リハビリテーションなどによる関節可動域の改善や、関節包内注射による痛みの軽減などが有効となります。
3. ロキソニン以外の五十肩の治療法
五十肩の治療法は、痛みの程度や症状、進行具合などに応じて選択されます。ロキソニンなどの痛み止めが効かない場合でも、他の治療法を組み合わせることで改善を目指すことができます。
3.1 薬物療法
五十肩の痛みを抑える薬物療法には、以下のようなものがあります。
3.1.1 消炎鎮痛剤
ロキソニンが効かない場合でも、他の種類の消炎鎮痛剤が有効な場合があります。医師の指示に従って服用しましょう。
- アセトアミノフェン系鎮痛剤(カロナールなど)
- COX-2阻害剤(セレコックスなど)
3.1.2 神経障害性疼痛治療薬
五十肩の痛みが、神経の興奮によって引き起こされている場合に有効とされる薬です。
- プレガバリン(リリカなど)
- デュロキセチン(サインバルタなど)
これらの薬は、いずれも副作用が出る可能性があるため、自己判断での服用は避け、必ず医師の指示に従ってください。
3.2 リハビリテーション
五十肩の治療において、リハビリテーションは非常に重要です。肩関節の動きを改善し、痛みの軽減、再発予防を目指します。
3.2.1 運動療法
肩関節の柔軟性を高め、可動域を広げるための運動を行います。理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で実施することが大切です。五十肩の運動療法には、以下のようなものがあります。
- ストレッチ:肩甲骨を動かしたり、腕を回したりするストレッチで、肩周りの筋肉の柔軟性を高めます。
- 筋力トレーニング:ゴムチューブなどを用いて、肩周りの筋力強化を行います。
3.2.2 物理療法
温熱療法や電気療法などを行い、血行促進や疼痛緩和を図ります。
- 温熱療法:ホットパックやマイクロ波などを用いて患部を温め、血行を促進します。
- 電気療法:低周波や干渉波などの電気を用いて、筋肉を刺激し、疼痛を緩和します。
3.3 注射
痛みが強い場合や、他の治療法で効果が得られない場合には、注射による治療が行われることがあります。
3.3.1 関節内注射
肩関節内に直接薬剤を注射する方法です。炎症を抑えたり、痛みを和らげたりする効果があります。
- ステロイド注射:強力な抗炎症作用を持つステロイド薬を関節内に注射することで、炎症を抑え、痛みを軽減します。効果は強力ですが、関節や周囲の組織への影響も大きいため、使用回数や期間には制限があります。
- ヒアルロン酸注射:関節内の潤滑作用を高めるヒアルロン酸を注射することで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減します。ステロイド注射に比べて効果は緩やかですが、副作用が少ないというメリットがあります。
3.3.2 神経ブロック注射
肩関節周辺の神経に局所麻酔薬を注射し、痛みを遮断する方法です。痛みが強い場合に有効ですが、効果は一時的です。
3.4 手術療法
他の治療法で効果が得られない場合や、関節が拘縮している場合には、手術療法が検討されることがあります。しかし、五十肩の手術は一般的ではなく、他の治療法で改善が見られない場合にのみ検討されます。
3.4.1 関節鏡視下手術
関節鏡と呼ばれる内視鏡を用いて、関節内の癒着を剥離する手術です。傷が小さく、術後の回復も早いというメリットがあります。
3.4.2 人工関節置換術
肩関節が著しく変形している場合に行われる手術です。損傷した関節を人工関節に置き換えることで、痛みを軽減し、関節の機能を回復させます。
五十肩の治療は、その原因や症状、進行度合いによって異なり、多岐にわたります。自己判断で治療法を選択するのではなく、整形外科を受診し、医師の診断のもと、適切な治療を受けるようにしましょう。
4. 自己判断は危険!五十肩が疑われる症状
五十肩は自然に治ることもありますが、放置すると肩関節の拘縮が進行し、日常生活に支障をきたす場合もあります。そのため、早期に適切な治療を開始することが重要です。以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 安静時や夜間にも肩の痛みがある
- 肩の痛みで眠れないことがある
- 肩の動きが悪く、腕が上がらない、後ろに回せない
- 服の着脱や髪を結ぶなどの動作が困難
- 肩の痛みだけでなく、腕や手にもしびれやだるさがある
5. 医療機関の選び方
五十肩の治療は、整形外科を受診するのが一般的です。その中でも、肩関節の治療を得意とする医師や、リハビリテーション設備が充実している医療機関を選ぶとよいでしょう。インターネットの口コミサイトなどを参考にしたり、かかりつけ医に紹介してもらったりするのも一つの方法です。
五十肩は適切な治療を行うことで、症状の改善や完治が期待できます。自己判断で治療をせずに、医療機関を受診し、医師の指導のもと治療を進めていきましょう。
6. 自己判断は危険!五十肩が疑われる症状
「肩が痛いからといって、すべてが五十肩とは限りません。五十肩は、他の病気と似た症状が出ることもあるため、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。」
五十肩は自然に治ることもありますが、適切な治療を行わないと、痛みが長引いたり、肩の動きが悪くなることがあります。五十肩が疑われる場合には、自己判断せずに、早めに医療機関を受診しましょう。
6.1 五十肩の初期症状
五十肩は、徐々に肩の痛みや動かしにくさが現れる進行性の病気です。初期症状は比較的軽度で、日常生活に支障がない場合もあるため、放置してしまうケースも少なくありません。しかし、適切な治療を行わないと、症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
症状 | 説明 |
---|---|
肩の痛み | 初期は、肩の関節周囲に鈍い痛みを感じることが多いです。特に、夜間や早朝に痛みが強くなる傾向があります。 |
肩の動きが悪くなる | 腕を上げにくくなる、後ろに回せない、背中に手が届かないなど、肩の動きに制限を感じるようになります。 |
肩の違和感 | 肩に何か引っかかるような違和感や、重だるさを感じることもあります。 |
6.2 五十肩が進行した場合の症状
五十肩の症状が進行すると、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みや運動制限が現れます。重症化すると、睡眠障害や食欲不振、さらにはうつ症状を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。少しでも早く適切な治療を開始することが大切です。
症状 | 説明 |
---|---|
激しい痛み | 安静時にも強い痛みを感じ、夜も眠れないほどの痛みが出ることもあります。 |
肩関節の拘縮 | 肩関節が硬くなり、腕をほとんど動かせなくなることがあります。日常生活動作(着替え、髪をとかす、トイレなど)にも支障が出ます。 |
筋力低下 | 肩周りの筋肉が衰え、腕を上げることが難しくなります。ものを持ち上げる動作も困難になることがあります。 |
6.3 五十肩と似た症状が現れる病気
肩の痛みや動かしにくさは、五十肩以外にも様々な原因で起こります。自己判断は危険ですので、医療機関を受診し、正確な診断を受けるようにしましょう。
病気 | 説明 |
---|---|
肩関節周囲炎 | 五十肩と同一視されることもありますが、肩関節周囲の筋肉や腱、靭帯などの炎症によって痛みや運動制限が生じます。 |
腱板断裂 | 肩の筋肉(腱板)が断裂することで、痛みや運動制限、筋力低下などが現れます。転倒やスポーツ外傷などが原因となることが多いです。 |
頸椎椎間板ヘルニア | 首の骨と骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで、肩や腕に痛みやしびれが生じることがあります。 |
胸郭出口症候群 | 鎖骨と肋骨の間にある神経や血管が圧迫されることで、肩や腕に痛みやしびれ、冷感などが現れます。 |
五十肩は、適切な治療を行うことで改善できる病気です。自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
7. 医療機関の選び方
五十肩の治療は、適切な診断と治療計画に基づいて行われることが重要です。自己判断で治療を進めると、症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性もあります。そのため、医療機関を受診し、専門医による適切な治療を受けるようにしましょう。では、数ある医療機関の中から、どのように選べば良いのでしょうか?
7.1 専門性
7.1.1 整形外科を受診する
五十肩は整形外科の専門分野です。まずは整形外科を受診しましょう。診療科目は医療機関のホームページなどで確認できます。クリニックによっては、ホームページで専門とする分野を具体的に記載している場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。
7.1.2 リハビリテーション専門医もおすすめ
五十肩の治療においてリハビリテーションは非常に重要です。リハビリテーション専門医が在籍する医療機関であれば、より専門的な指導を受けることができます。日本リハビリテーション医学会のホームページで、リハビリテーション専門医を検索することができます。
7.2 診療体制
7.2.1 予約制かどうか
待ち時間の短縮のため、予約制の医療機関を選ぶと良いでしょう。特に、仕事や家事などで忙しい方は、予約制の方が通院しやすいでしょう。
7.2.2 リハビリテーション施設の有無
五十肩の治療には、リハビリテーションが重要です。医療機関内にリハビリテーション施設が併設されていると、スムーズにリハビリテーションを受けることができます。
7.3 その他
7.3.1 医師との相性
医師との相性も重要です。自分の症状や治療方針について、納得いくまで相談できる医師を選びましょう。セカンドオピニオンを受けるのも一つの方法です。
7.3.2 通いやすさ
自宅や職場から通いやすい医療機関を選ぶことも大切です。通院しやすい距離であれば、治療を継続しやすくなります。
五十肩は自然に治ることもありますが、適切な治療を受けることで、痛みを軽減し、運動機能を回復させることができます。信頼できる医療機関を選び、医師と相談しながら治療を進めていきましょう。
8. まとめ
五十肩の痛みは、ロキソニンなどの痛み止めが効きにくい場合があります。これは、五十肩の痛みが炎症だけでなく、関節の拘縮や筋肉の硬直などが原因で起こるためです。ロキソニンは炎症を抑える効果はありますが、これらの根本的な原因を解決することはできません。
五十肩の治療には、リハビリテーションや注射、場合によっては手術など、様々な方法があります。自己判断で治療をせずに、整形外科を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。