五十肩にロキソニンテープは効く?湿布の種類と効果を解説

「五十肩の痛みを何とかしたいけど、ロキソニンテープって本当に効くの?」と悩んでいませんか? 五十肩は中高年になると多くの人が経験する症状ですが、その痛みがつらいと日常生活にも支障が出てしまいますよね。 この記事では、五十肩の原因や症状、そしてロキソニンテープを含む湿布治療の効果や注意点について詳しく解説していきます。 さらに、ロキソニンテープ以外の治療法や、湿布を使う上での疑問にもお答えします。 この記事を読めば、五十肩の痛みに対する適切な対処法が分かり、安心して日常生活を送るための一歩を踏み出せるはずです。

1. 五十肩とは?

四十肩・五十肩とは、医学的には肩関節周囲炎と呼ばれる疾患を、一般的に分かりやすくした呼び名です。40歳代で発症すると四十肩、50歳代で発症すると五十肩と呼びますが、医学的にはどちらも同じ疾患です。中年以降に多く発症することから、このような呼び名になったと考えられています。

肩関節周囲炎は、肩関節の周辺組織に炎症が起こり、肩の痛みや動かしにくさが生じる病気です。肩関節は、肩甲骨、上腕骨、鎖骨の3つの骨と、それらを繋ぐ筋肉、腱、靭帯、関節包など様々な組織から構成されており、非常に複雑な構造をしています。肩関節周囲炎では、これらの組織のうち、どの組織に炎症が起こっているかによって、さらに細かく分類されます。

1.1 四十肩・五十肩の症状

四十肩・五十肩の主な症状は、肩の痛みと運動制限です。初期には、肩を動かした時の痛みや、肩を上げた時に引っかかるような感覚が現れます。症状が進行すると、安静時にも痛みを感じたり、夜間痛で眠れないこともあります。また、肩を動かすことが困難になり、腕を上げることや、後ろに回すこと、反対側の肩に触れることなどが出来なくなります。

四十肩・五十肩の症状は、日本整形外科学会によると、以下の3つのステージに分けられます。

ステージ期間症状
急性期発症から2週間程度・安静時にも強い痛みがある
・肩を動かすと激痛が走る
・夜間痛で眠れないこともある
慢性期2週間~6ヶ月程度・安静時の痛みは軽減する
・肩を動かすと痛みがある
・肩の動きが悪くなる(運動制限)
回復期6ヶ月~1年程度・痛みはほとんどなくなる
・肩の動きが悪くなる
・肩の動きが徐々に改善する

これらのステージは目安であり、症状の出方や期間には個人差があります。また、適切な治療を行わないと、回復期に入っても肩の動きに制限が残ってしまうこともあります。

1.2 五十肩の原因

四十肩・五十肩の明確な原因は、まだ解明されていません。しかし、加齢に伴う肩関節周囲の組織の老化や、肩関節の使い過ぎ、運動不足、姿勢不良、外傷、糖尿病などの基礎疾患などが、発症に関係していると考えられています。また、最近では、ストレスや睡眠不足なども、発症リスクを高める可能性が指摘されています。

加齢によって、肩関節周囲の組織は、以下のような変化が起こります。

  • 筋肉や腱の柔軟性が低下する
  • 関節包や靭帯が硬くなる
  • 軟骨がすり減る
  • 血行が悪くなる

これらの変化によって、肩関節の動きが悪くなり、炎症が起こりやすくなると考えられています。また、肩関節の使い過ぎや運動不足、姿勢不良なども、肩関節周囲の組織に負担をかけ、炎症を引き起こす原因となります。

四十肩・五十肩は、自然に治癒することもありますが、適切な治療を行わないと、痛みが長引いたり、肩の動きに制限が残ってしまうことがあります。そのため、肩の痛みや動かしにくさを感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

2. 五十肩の治療法

五十肩の治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。ほとんどの五十肩は保存療法で改善しますが、症状が重い場合や、保存療法を行っても改善が見られない場合は、手術療法が検討されます。

2.1 湿布治療

湿布は、五十肩の治療において、炎症を抑え、痛みを和らげるために一般的に使用される治療法の一つです。ただし、湿布はあくまで対症療法であり、五十肩の原因そのものを根本的に治療するものではありません。痛みが強い時期や炎症が強い時期には有効ですが、湿布だけに頼らず、他の治療法と組み合わせて、五十肩の根本的な改善を目指すことが大切です。

2.1.1 湿布の種類

五十肩に用いられる湿布には、大きく分けて「冷湿布」と「温湿布」の2種類があります。それぞれ効果や使用感が異なるため、症状や時期に合わせて適切な湿布を選ぶようにしましょう。

種類効果使用感使用時期
冷湿布炎症を抑える、痛みを麻痺させるひんやりと冷たく感じる急性期(痛みが強い時期)
温湿布血行を促進する、筋肉の緊張を和らげるじんわりと温かく感じる慢性期(痛みが落ち着いてきた時期)

一般的に、五十肩の急性期には冷湿布、慢性期には温湿布が用いられます。しかし、症状や時期、個人の感じ方によって、適切な湿布は異なるため、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

2.1.2 ロキソニンテープの効果

ロキソニンテープは、ロキソプロフェンナトリウム水和物を主成分とする経皮吸収型鎮痛・抗炎症テープ剤です。ロキソプロフェンナトリウム水和物は、炎症を引き起こすプロスタグランジンの産生を抑えることで、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。五十肩の痛みや炎症を抑えるために、広く使用されています。

ロキソニンテープは、痛みの原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、炎症と痛みを同時に抑える効果があります。そのため、五十肩の急性期に有効な湿布として、多くの医療機関で処方されています。市販薬としても販売されているため、薬剤師に相談の上、購入することも可能です。

2.1.3 湿布の副作用

湿布は、外用薬であるため、飲み薬に比べて副作用が少ないとされていますが、全く副作用がないわけではありません。湿布を使用することで、以下のような副作用が現れる可能性があります。

  • 皮膚炎:かゆみ、赤み、発疹、水ぶくれなど
  • 色素沈着:湿布を貼っていた部分が黒ずむ
  • 接触皮膚炎:湿布の成分に触れることで、かぶれや炎症が起こる
  • 光線過敏症:湿布を貼った部分が、日光に当たると、赤みや炎症が起こる

湿布を使用中に、上記のような症状が現れた場合は、使用を中止し、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。また、湿布は、長期間、同じ場所に貼り続けると、皮膚への負担が大きくなるため、定期的に貼り替えるようにしましょう。

2.2 その他の治療法

五十肩の治療法には、湿布治療以外にも、様々な方法があります。ここでは、代表的な治療法をいくつかご紹介します。

  • 2.2.1 薬物療法 五十肩の痛みや炎症を抑えるために、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの薬が処方されることがあります。内服薬だけでなく、注射薬を使用する場合もあります。
  • 2.2.2 リハビリテーション 五十肩によって制限された肩関節の動きを改善するために、理学療法士による運動療法が行われます。ストレッチや筋力トレーニングなど、個々の症状に合わせた運動プログラムが作成されます。運動療法は、五十肩の治療において非常に重要です。肩関節の柔軟性や筋力を回復させるだけでなく、再発予防にも効果が期待できます。
    公益財団法人 日本整形外科学会
  • 2.2.3 注射療法 五十肩の痛みが強い場合や、炎症が強い場合には、肩関節内にステロイド剤やヒアルロン酸などを注射することがあります。ステロイド剤は強力な抗炎症作用があり、ヒアルロン酸は関節の動きを滑らかにする効果があります。注射療法は、即効性が期待できる治療法ですが、効果は一時的な場合もあるため、他の治療法と組み合わせて行われることが多いです。
    肩関節周囲炎に対する治療選択 – J-STAGE
  • 2.2.4 手術療法 五十肩は、ほとんどの場合、保存療法で改善しますが、症状が重い場合や、保存療法を行っても改善が見られない場合は、手術療法が検討されることがあります。手術療法には、関節鏡視下手術や肩峰形成術などがあります。関節鏡視下手術は、関節内に内視鏡を挿入して、関節内の状態を確認しながら行う手術です。肩峰形成術は、肩峰と呼ばれる肩甲骨の一部を切除する手術です。
    公益社団法人 日本整形外科医会

五十肩の治療法は、症状の程度や経過、患者の年齢や体力、そして日常生活における制限の度合いなどを考慮して決定されます。自己判断で治療法を選択するのではなく、必ず医師の診断を受けて、適切な治療を受けるようにしましょう。

3. 五十肩の湿布に関するQ&A

五十肩の湿布治療について、よくある疑問をまとめました。

3.1 ロキソニンテープが効かない場合は?

ロキソニンテープなどの湿布で痛みが改善しない場合は、他の治療法を検討する必要があります。五十肩の痛みの原因や程度によって適切な治療法は異なるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

医療機関では、湿布よりも効果の高い消炎鎮痛剤の内服や注射、リハビリテーションなど、様々な治療法を組み合わせることで、より効果的に痛みを改善することができます。 また、痛みの原因によっては、ステロイド注射神経ブロック注射などの治療法が選択されることもあります。

3.2 湿布はどのくらい貼ればいい?

湿布は、基本的に1日に1~2回決められた時間だけ貼ります。貼りすぎると、皮膚トラブルのリスクが高まるため注意が必要です。また、同じ場所に貼り続けると、皮膚が刺激されてしまうため、貼り替える場所を変えながら使用しましょう。

湿布の効果持続時間は製品によって異なりますが、一般的には4時間~12時間程度です。 使用する湿布の種類や症状によって適切な使用時間や頻度が異なるため、必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。自己判断で長期間使用したり、使用量を増やしたりすることは避けましょう。

3.3 病院に行くべき?

以下のような場合は、医療機関への受診を検討しましょう。

  • 市販の湿布薬を使用しても痛みが改善しない場合
  • 夜間痛がひどく、眠れない日が続く場合
  • 腕を動かす範囲が狭くなっている場合
  • 日常生活に支障が出ている場合

五十肩は自然治癒することもありますが、適切な治療を行わないと、症状が悪化したり、慢性化したりする可能性があります。早期に治療を開始することで、痛みの軽減だけでなく、肩関節の機能回復も期待できます。自己判断せずに、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

3.4 湿布を選ぶ上での注意点

湿布を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

注意点詳細
種類冷湿布、温湿布、経皮鎮痛消炎テープなど、様々な種類があります。症状や痛みの程度、自分の体質に合ったものを選びましょう。
成分湿布に含まれる成分によって、効果や副作用が異なります。成分を確認し、アレルギーや副作用の心配がある場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
サイズ湿布のサイズが合っていないと、効果が十分に得られない場合があります。痛む部分に合ったサイズのものを選びましょう。
使用期限湿布は、使用期限内のものであっても、開封後は品質が劣化しやすくなります。開封後は、なるべく早めに使い切るようにしましょう。

3.5 日常生活での注意点

五十肩の症状を悪化させないためには、日常生活でも以下の点に注意することが大切です。

  • 無理な姿勢や動作を避ける
  • 重いものを持つときは注意する
  • 長時間同じ姿勢を続けない
  • 適度な運動を心がける
  • 体を冷やさないようにする
  • 十分な睡眠をとる
  • バランスの取れた食事を心がける
  • ストレスをため込まない

これらの点に注意することで、五十肩の症状を予防・改善することができます。また、日本整形外科学会などの信頼できる情報源も参考に、正しい知識を身につけるようにしましょう。

4. まとめ

五十肩は中高年に多く見られる肩の痛みや運動制限を引き起こす疾患です。ロキソニンテープなどの湿布薬は、炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できますが、五十肩の原因に直接働きかけるものではありません。そのため、他の治療法と組み合わせる、あるいは症状が重い場合は医師の診断を受けることが大切です。自己判断で湿布を長期間使用すると、副作用のリスクも高まります。つらい五十肩の症状を改善するために、適切な治療法を選択しましょう。