ぎっくり腰で歩けるけど痛い…この状態を放置すると慢性化や再発の悪循環に陥りがちです。本記事では原因メカニズムから受診目安、痛み止め・ブロック注射の効果とリスク、自宅ケア、再発予防策まで医師監修の最新知見を凝縮。読むだけで今すぐ取るべき行動がわかり、最短で痛みを抑え安全に仕事や日常へ復帰する道筋が見えます。ポイントは「我慢せず早期治療+適度な運動」。この記事を読めば不安を手放し、腰を守る正しい生活習慣を今日から実践できます。
ぎっくり腰で「歩けるけど痛い」状態とは?
急性腰痛のメカニズム
筋・筋膜性損傷
前かがみや重い物を持ち上げた瞬間、腰部の筋肉や筋膜に微細な断裂や強い伸張ストレスが生じると、炎症性物質が放出されて痛覚受容器を刺激します。これがビリッと電気が走るような痛みの正体です。痛みを感じつつも歩けるのは、筋線維の断裂が部分的で腰椎の安定性が保たれているためです。
椎間関節捻挫
腰椎をつなぐ椎間関節の関節包がねじれたり伸ばされたりすると、滑液が漏れ出し関節包内圧が急上昇します。関節包には痛覚神経が豊富なため、少し身体を反らすだけでも疼痛が走りますが、完全に荷重がかかるわけではないので短距離なら歩行可能なケースが少なくありません。
動けないケースとの違い
同じ急性腰痛でも、痛みが強すぎて一歩も動けない例との間には明確な差があります。当院では、次の観点で見極めています。
評価項目 | 歩けるけど痛い | 動けない |
---|---|---|
神経症状 | ほぼ無い、しびれは軽度 | 下肢の強いしびれや筋力低下 |
炎症範囲 | 局所的 | 広範囲に浮腫・熱感 |
疼痛閾値 | 動作開始時に鋭い痛み | 安静時も激痛が持続 |
画像所見(レントゲン) | 骨折なし、配列変化わずか | 骨折や高度の不安定性を疑う |
神経障害性疼痛の有無
足先まで電気が走るようなしびれが持続する場合は神経根の強い圧迫を示唆します。歩行可能でも、膀胱直腸障害や感覚麻痺があれば早急な対応が必要です。
炎症範囲と浮腫
エコー検査で浮腫が筋膜層に限局していれば歩行時の安定感は保たれます。浮腫が深部まで及ぶと軽い体重移動でも激痛となり、動けなくなることが多いです。
心理的要因
ぎっくり腰は痛みへの恐怖心で動作が過剰に制限されることがあります。当院では早期から安全な動き方を指導し、過度の不安を減らすことで「歩ける状態」を維持していただきます。
無理な動作が危険な理由
二次損傷のリスク
「少しは歩けるから大丈夫」と荷物を持ち上げてしまうと、炎症が拡大し筋線維のさらなる断裂を招きます。痛み止めで感覚が鈍っていると、損傷の深刻さに気づきにくい点も注意が必要です。
慢性化への移行
発症直後の無理な我慢歩行は、腰周囲の防御性筋緊張を長期化させ、血流障害と代謝低下を起こします。これが慢性腰痛へ移行する大きな要因になるため、鶴橋整形外科クリニックでは痛みの強さに応じた適切な安静と早期治療を推奨しています。
まずは整形外科へ行くべきサインと受診の流れ
受診のタイミングと目安
「歩けるけれど腰が刺すように痛む」「動き始めと立ち上がりに強い痛みが走る」といった症状が続く場合、自然回復を待つよりも早期に整形外科で診断を受けることが大切です。痛みの背景には筋膜炎・椎間関節捻挫・仙腸関節炎などいくつかの原因が隠れているため、放置すると慢性化し再発を繰り返す恐れがあります。
症状・状況 | 受診の優先度 |
---|---|
腰を曲げ伸ばしすると鋭い痛みが増す | 出来るだけ早め |
安静にしても痛みが引かず睡眠を妨げる | 翌日までに受診 |
足にしびれや脱力感が出てきた | 当日中に受診 |
転倒や重い物を持ち上げた直後から強い痛み | 当日中に受診 |
ぎっくり腰の多くは炎症や筋肉の損傷によるものですが、しびれ・脱力を伴う場合は神経の圧迫が疑われます。特に片側の足に症状が片寄るときは注意が必要です。こうしたサインを感じたら、まずは電話で受診可能か確認し、来院時に詳しい症状をお伝えください。
病院で行われる検査内容(レントゲン・エコーなど)
鶴橋整形外科クリニックでは、受診後すぐに医師が問診と視診・触診を行い、痛みの部位や動作時痛の有無を確認します。そのうえで、以下のような検査を組み合わせて原因を特定します。
- レントゲン検査:骨折や椎間関節の並びに異常がないかを確認します。
- エコー検査:筋肉・靭帯・軟部組織の損傷、炎症の有無をリアルタイムで観察できます。被ばくがなく妊娠中の方でも安心して受けられます。
- 整形外科的徒手検査:神経症状の有無を判定するために下肢伸展テストや腱反射テストを行います。
これらの結果をもとに、ブロック注射や内服薬が必要かどうか、安静期間やリハビリ開始の時期を判断します。
健康保険と費用の目安
当院は保険診療を基本としており、腰痛に対するレントゲン検査・エコー検査・処方薬・注射治療はいずれも健康保険の適用範囲内で受けられます。自己負担額は保険証の負担割合や治療内容によって異なりますので、受付で遠慮なくお尋ねください。
なお、受診時には保険証・お薬手帳・紹介状(お持ちの場合)・腰部を締め付けない服装を準備いただくと診療がスムーズです。
以上の流れを踏まえ、腰痛が生活に支障を来す前に専門医の診断と適切な治療を受けることで、再発を防ぎながら早期復帰を目指しましょう。
痛み止め薬の種類と選び方
鶴橋整形外科クリニックでは、ぎっくり腰で「歩けるが痛い」状態を早期に緩和し、日常生活への復帰を促すために、症状と体質に合わせて内服薬・外用薬を組み合わせています。以下では代表的な薬剤を区分ごとに整理し、患者さまが安心して使用できるよう特徴と注意点をまとめました。
薬の区分 | 一般名 | 主な商品名 | 特徴 | 作用時間の目安 |
---|---|---|---|---|
市販の非ステロイド性抗炎症薬 | イブプロフェン | イブ、バファリンルナ | 痛みと炎症を抑える。胃への負担は比較的少なめ。 | 4〜6時間 |
市販の非ステロイド性抗炎症薬 | ロキソプロフェン | ロキソニンSシリーズ | 鎮痛効果が速い。空腹時は胃障害に注意。 | 4〜6時間 |
処方の非ステロイド性抗炎症薬 | ジクロフェナク | ボルタレン | 強い消炎鎮痛作用。胃粘膜障害を起こしやすい。 | 6〜8時間 |
処方の非ステロイド性抗炎症薬 | セレコキシブ | セレコックス | 胃腸障害が比較的少ない選択的タイプ。 | 12時間 |
筋弛緩薬 | エペリゾン | ミオナール | 筋スパズムを緩め、動作時痛を軽減。 | 8時間 |
外用薬 | フェルビナク | モーラステープなど | 皮膚から成分が浸透し、局所の痛みを緩和。 | 24時間貼付 |
坐薬 | ジクロフェナク | ボルタレン坐剤 | 飲み込み困難時に使用。胃への負担を軽減。 | 6〜8時間 |
市販NSAIDs(ロキソニン・イブプロフェンなど)
主な種類と作用機序
市販の非ステロイド性抗炎症薬は、痛みの元となるプロスタグランジン産生を抑制することで鎮痛・消炎効果を発揮します。即効性が期待でき、仕事や家事を休めない軽症の方に向いています。
選び方のポイント
成分量・剤形が同じでも、添加物や錠剤の大きさが異なります。「胃が弱い」「薬が飲みにくい」といった個別の事情を医師・薬剤師に伝え、最適な製品を確認してください。
使用上の注意
空腹時やアルコール摂取直後の服用は避け、水またはぬるま湯で十分量を飲むことが大切です。市販薬で三日以上続けて服用しても改善しない場合は受診してください。
処方薬(ボルタレン・セレコックス・筋弛緩薬など)
ボルタレン系薬
ジクロフェナクを主成分とする薬剤で、痛みと炎症をしっかり抑えます。当院では胃粘膜保護薬を併用し、胃障害を予防しながら短期間使用を基本とします。
セレコックス系薬
セレコキシブは選択的に炎症を抑えるため、胃腸障害のリスクが比較的低いとされています。高血圧や心疾患の既往がある方は使用前に必ず医師が評価します。
筋弛緩薬
エペリゾンなどは筋肉の緊張を和らげ、動作時の痛みを軽減します。眠気が出ることがあるため、車の運転や危険作業は控えてください。
湿布・貼り薬・坐薬のメリットデメリット
外用薬の利点
皮膚から直接有効成分が届くため、胃腸への負担が少ないことが大きな利点です。長時間貼付できる製品は就寝中の痛み対策にも有効です。
坐薬の利点
坐薬は胃を通過しないため、服薬が困難な場合や胃障害リスクが高い方に適しています。早期に血中濃度が上がることも特徴です。
注意点
貼付薬によるかぶれ、坐薬による肛門部刺激などの副作用が起こることがあります。皮膚発赤や違和感を感じたら使用を中止し、当院へ相談してください。
飲み合わせと副作用に注意
重複使用によるリスク
内服と外用で同じ成分を重ねると過量投与となり、腎機能障害や肝機能障害を招く恐れがあります。お薬手帳を持参し、一元管理を行いましょう。
胃腸障害を防ぐ工夫
長期使用が見込まれる場合は、胃酸分泌を抑える薬や粘膜保護薬を併用します。また、カフェインやアルコールの過剰摂取は避けてください。
服用中止の目安
黒色便、発疹、息苦しさなど重篤な副作用が疑われる症状が出たら、すぐに服用を中止し受診してください。当院では必要に応じて血液検査やレントゲンを行い、原因を評価します。
痛み止めは「効けばよい」だけでなく、「安全に使える」ことが最重要です。自己判断で増量・併用せず、疑問や不安があれば鶴橋整形外科クリニックへご相談ください。
ブロック注射・トリガーポイント注射の効果とリスク
鶴橋整形外科クリニックでは、歩けるものの鋭い腰痛が続く患者さまへ即効性を期待できる選択肢として、硬膜外ブロック注射やトリガーポイント注射を行っています。ここでは「なぜ効くのか」「効果の持続はどれほどか」「注意点は何か」を詳しく解説します。
どんな仕組みで痛みを止めるのか
急性腰痛では、筋肉・靱帯・椎間関節の炎症により痛みの電気信号が神経を通じて脳へ伝わることで苦痛が生じます。ブロック注射はその伝達路に局所麻酔薬や抗炎症薬を直接届け、神経の興奮を鎮める治療です。一方、トリガーポイント注射は痛みの震源地である硬結した筋繊維に針を刺し、麻酔薬を注入して血流と代謝を改善し、筋緊張を素早く解除します。
注射法 | 主な投与部位 | 使用薬剤 | 期待できる作用 |
---|---|---|---|
硬膜外ブロック | 脊柱管内(硬膜外腔) | 局所麻酔薬+副腎皮質ホルモン | 神経根の炎症抑制・鎮痛 |
椎間関節ブロック | 椎間関節周囲 | 局所麻酔薬 | 関節性腰痛の痛み遮断 |
トリガーポイント | 腰背部の筋肉内 | 局所麻酔薬 | 筋硬結の弛緩・血行改善 |
効果が出るまでの時間と持続期間
多くの場合、注射後数分〜30分で痛みの軽減を実感できます。持続期間は個人差がありますが、トリガーポイント注射は数日〜1週間、硬膜外ブロックは数日〜数週間の鎮痛が見込めます。炎症が強いケースでは繰り返し実施することで相乗効果が期待できます。
ただし、痛みが消えても組織の修復が完了したわけではありません。楽になった直後に無理をすると再発しやすいため、当院では疼痛コントロールと並行してストレッチや体幹安定化指導を行っています。
受けられる医療機関と費用
ブロック注射とトリガーポイント注射は整形外科やペインクリニックで実施されています。当院でも予約制で対応しており、保険診療の範囲内で行えるケースが多いものの、詳細は窓口でご確認ください。
注射後の過ごし方とリハビリ開始の目安
当日の注意点
時間帯 | 推奨される行動 | 避けたい行動 |
---|---|---|
注射直後〜2時間 | 院内で安静・痛みの変化を確認 | 車の運転・重い荷物の持ち上げ |
帰宅後 | 腰を冷やさず、軽い歩行で血流維持 | 長時間の前屈姿勢・激しい運動 |
リハビリ開始の目安
注射の効果で可動域が確保できたら、翌日以降に痛みが5段階中2以下であれば、当院理学療法士が指導する腹横筋活性化エクササイズを開始します。痛みが残る場合はアイシングや低周波治療で炎症を落ち着かせてからストレッチへ移行します。
起こりうるリスクと対処
局所麻酔薬により一過性のしびれや脱力感が生じることがありますが、多くは数時間で消失します。発熱や強い腰痛の増悪、アレルギー症状が出た場合はすぐ当院へご連絡ください。重篤な合併症はまれですが、糖尿病や抗凝固薬を服用中の方は事前に申し出ていただくことで安全性が高まります。
ブロック注射・トリガーポイント注射は、痛みを一時的に消す手段だけでなく、リハビリへ移行する「橋渡し」として大きな役割を果たします。腰部に負担をかけない生活動作指導と合わせ、再発しにくい身体づくりを進めていきましょう。
痛みを悪化させない日常動作とセルフケア
鶴橋整形外科クリニックでは、ぎっくり腰で「歩けるけれど痛い」段階から無理なく回復をめざすために、次の4つのセルフケアを特に重視しています。日常生活の中で「無理をしないこと」と「正しい方法を守ること」が、再び強い痛みを起こさない最短ルートです。
アイシングと温めの使い分け
発症から48時間以内は炎症を鎮める目的で冷却、その後は循環を促す温熱へと切り替えるのが基本です。ただし痛みが増す場合はただちに中止してください。
時期 | 推奨温度 | 方法 | 注意点 |
---|---|---|---|
発症〜2日目 | 10〜15℃ | 保冷剤を薄いタオルで包み 10分間当てて10分休む | 感覚が鈍い方は 凍傷リスクに注意 |
3日目以降 | 40〜42℃ | 入浴または 蒸しタオルを15分 | 熱感が残る日は 温めを控える |
冷却でも温熱でも「気持ち良い範囲」を超えないことが大前提です。
コルセット・腰ベルトの正しい装着方法
着用タイミング
通勤・家事・買い物など腰に負担がかかる時間帯のみ装着し、就寝時は外すことで筋力低下を防ぎます。
装着ポイント
- おへその少し下を中心に骨盤と肋骨の間を軽く圧迫する
- 座った状態で巻くとフィットしやすい
- 息を吐きながら最後に軽く締めて固定
当院では装着後に前屈・後屈を行い、「ずれない・苦しくない・痛みが和らぐ」の3点を確認しています。
歩き方・立ち上がり方・寝返りのコツ
歩き方
小またで膝を軽く曲げかかとから着地すると腰への衝撃が分散します。痛みが強い日は杖や手すりを活用してください。
立ち上がり方
- 椅子に浅く腰掛け、両足を肩幅に開く
- 背すじは軽く伸ばし、両手を太ももに置く
- 顔を前に向けたままお尻を前に滑らせるように重心移動
- 膝を伸ばしきらずに立ち上がり、最後に腰を伸ばす
寝返りのコツ
横向きになったら膝と股関節を同時に曲げ、腹筋ではなく腕と脚の支点を使って身体全体を転がすイメージで動きます。
簡単ストレッチとリハビリ体操
骨盤周囲のストレッチ
仰向けで膝を立て、片膝を胸に引き寄せ10秒キープ(左右交互に各5回)。痛みが出ない範囲で行います。
腹横筋の活性化
膝立ちのまま鼻から息を吸い、口から細く長く吐きながらおへそを背骨に近づける意識で5秒。呼吸を止めず10回。
再発予防のポイント
- 運動前後にアイシング・温熱を併用し炎症を抑える
- 痛みがある日はストレッチのみ、痛みが落ち着いたら体操を追加
- 一度に長時間行わず「1日3回・各5分」を目安に小分け
これらの体操は痛みが急激に増幅した場合は中止し、当院へご相談ください。
日常動作の見直しとセルフケアを正しく行うことで、注射や痛み止めの効果を最大限に生かし、再発のリスクを減らすことができます。ご不明な点は鶴橋整形外科クリニックまでお気軽にお尋ねください。
再発を防ぐための生活習慣とトレーニング
体幹強化エクササイズ
腰椎まわりの筋肉を安定させることで、椎間板や靭帯への負担を軽減し再発リスクを下げられます。当院でもリハビリの初期段階から<呼吸を整えながら力を入れる>感覚を重視しています。
エクササイズ名 | 方法 | 回数・時間 | 注意点 |
---|---|---|---|
腹部引き込み(ドローイン) | 仰向けで膝を立て、息を吐きながらお腹を背中側へ薄くする。 | 5秒保持×10回 | 腰を反らさない。 |
骨盤傾斜運動 | 椅子に座り、骨盤を前後にゆっくり傾ける。 | 10往復×2セット | 背中を丸め過ぎない。 |
四つ這い猫・牛ストレッチ | 四つ這いで背中を丸める→反らすを交互に。 | 10往復 | 動きは呼吸に合わせて。 |
肘付き体幹保持 | うつ伏せで肘とつま先を支点に体を一直線に。 | 20秒保持×3回 | 痛みが出たら中止。 |
実施のタイミング
痛みが落ち着き、医師の許可が出てから開始してください。朝の準備前や就寝前など毎日同じ時間帯に行うと習慣化しやすいです。
デスクワーク環境の見直し
長時間の座位姿勢は、椎間板内圧を高め急性腰痛を再発させがちです。当院の外来でも「椅子・机・画面位置を整えるだけで痛みが半減した」という声が多く聞かれます。
項目 | 推奨設定 | チェックポイント |
---|---|---|
椅子の高さ | 足裏が床にべったり着き、膝が90度 | 低すぎると骨盤が後傾 |
背もたれ角度 | やや後傾(100〜110度) | 深く腰掛け骨盤を支える |
画面の上端 | 目線と同じ高さ | 首の前傾を防ぐ |
休憩間隔 | 30分に1回立ち上がる | 伸び・軽い歩行を追加 |
簡易ストレッチ
席を立てない場合は、椅子に座ったまま背伸びをし、両腕を上げて深呼吸を3回行います。椎間板への圧を一時的に減らし循環を促進できます。
体重管理と栄養バランス
体重が増えると腰部への垂直荷重が増し、椎間関節や筋膜のストレスが大きくなります。鶴橋整形外科クリニックでは「標準体重+5%以内」を維持するよう指導しています。
食生活のポイント
- 主食は精製度の低いご飯や雑穀を選び、血糖変動を緩やかにする。
- 青魚の脂やえごま油で炎症抑制に働く脂質を摂取。
- カルシウム・ビタミンDを含む小魚やきのこで骨の代謝をサポート。
- アルコールと過剰な甘味飲料は腰痛悪化の一因となるため控えめに。
整体やマッサージの利用時の注意点
手技療法は血行改善や筋緊張の緩和に役立ちますが、急性期直後や原因不明のしびれを伴う場合は逆効果になることもあります。
ご来院いただいた際は、医師がエコー検査や徒手テストで状態を確認し、安全に受けられる時期を判断します。
施術院選びの目安
- 国家資格(あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師等)を保有している。
- 施術前に現在の症状や既往歴を丁寧にヒアリングする。
- 痛みが増した場合に医療機関へ速やかに紹介できる体制がある。
これらの生活習慣を組み合わせることで再発率を大幅に下げることが期待できます。ご不明点があれば、診察時にお尋ねください。
救急受診が必要な危険サイン
ぎっくり腰の多くは数日で軽快しますが、次の「赤信号」が一つでも当てはまる場合は、鶴橋整形外科クリニックでは一般外来ではなく救急外来での対応をお勧めしています。放置すると歩行機能や排泄機能に後遺症を残すことがあるため、ためらわずに救急車を呼ぶか、夜間・休日診療所へ直行してください。
危険サイン | 想定される主な病態 | 至急の行動 |
---|---|---|
下肢のしびれ・脱力 | 重度の神経根圧迫、馬尾症候群 | 救急要請後、当院か救急病院でレントゲン・エコー検査 |
排尿・排便障害 | 脊髄圧迫障害、感染性脊椎炎 | 救急車搬送、泌尿器科と連携し導尿・抗菌薬投与 |
38℃以上の発熱・悪寒 | 化膿性脊椎炎、腎盂腎炎 | 速やかに血液検査・エコー、抗菌薬点滴 |
痛み止めが効かない激痛 | 圧迫骨折、動脈閉塞 | 緊急レントゲン撮影、血流評価 |
足のしびれや力が入らない
片足だけ、あるいは両足にビリビリするしびれや力が抜ける感覚が出たら、神経が強く圧迫されているサインです。とくに排尿障害を伴う場合は数時間単位で悪化することがあり、時間との勝負になります。自力歩行が困難なときは無理に立ち上がらず、同乗者がいない場合は迷わず救急車を要請してください。
当院での初期対応
到着後すぐにレントゲン撮影で骨折やずれを確認し、エコー検査で軟部組織の腫脹を評価します。神経症状が強い場合は、整形外科医と神経内科医が同席し、ブロック注射や点滴鎮痛を行ったうえで専門病院へ搬送する体制を整えています。
発熱・排尿障害を伴う場合
腰痛と同時に発熱、頻尿、尿が出にくいなどの症状があるときは、脊椎や泌尿器の感染症の可能性が否定できません。感染性疾患は進行が早く、数時間で菌血症に発展するケースもあるため、夜間でも受診が必須です。
当院からのお願い
市販の解熱鎮痛薬で熱が下がっても自己判断で様子をみないでください。痛み止めが症状をマスクし、診断を遅らせる危険があります。
痛み止めが効かない激痛
ロキソニンや当院で処方したセレコックスを服用しても動けないほどの激痛が続く場合は、骨折や血管障害が疑われます。特に高齢者や骨粗しょう症の方は、くしゃみ程度の外力でも圧迫骨折を起こすことがあるため注意が必要です。
救急外来で行う処置例
痛みが落ち着かない場合は、救急外来で点滴鎮痛を行いながらレントゲン撮影を実施し、骨の変形やずれを確認します。骨折が否定できない時は、翌朝に再度精密エコー検査を行い、固定具を装着したうえで自宅または専門病棟へ移動していただきます。
以上のようなサインを見逃さないことが、後遺症を防ぐ最も確実な方法です。ご家族や周囲の方が異変に気づいた場合も含め、いつでも鶴橋整形外科クリニック救急受付へご相談ください。
よくある質問Q&A
妊娠中でも注射は受けられる?
鶴橋整形外科クリニックではまず産婦人科の主治医と相談したうえで注射の適否を決定しています。一般的に局所麻酔薬のみのトリガーポイント注射は胎児への影響が極めて少ないとされていますが、ステロイドを含む注射は時期によっては避けることがあります。
注射の種類 | 妊娠初期 | 妊娠中期 | 妊娠後期 |
---|---|---|---|
局所麻酔薬のみ | 主治医の許可があれば可 | 比較的安全 | 比較的安全 |
ステロイド入りブロック | 原則避ける | 必要最小限で検討 | 必要最小限で検討 |
当院からのお願い
注射後は30分ほど院内で安静観察を行い、体調変化がないか確認いたします。ご家族の同伴が難しい場合はスタッフがサポートしますので遠慮なくお申し出ください。
何回まで注射して大丈夫?
一般的には同じ部位への注射は4〜6回/年を目安に計画します。過度に回数を重ねると、局所組織の弱化や感染リスクがわずかに高まるためです。当院では毎回エコーで針先を確認し、最小限の薬液量で最大限の効果をめざしています。
注射間隔の考え方
- 急性期の強い痛み:1〜2週間隔で2回まで
- 慢性化の予防目的:症状に応じて月1回程度
- 痛みが落ち着いた後:運動療法へ移行し注射を中止
仕事を休む目安は?
デスクワーク中心か力仕事かによって目安が異なります。
業務内容 | 安静期間の目安 | 復帰時のポイント |
---|---|---|
デスクワーク | 1〜2日 | 腰を反らさない椅子とクッションを活用 |
立ち仕事 | 2〜3日 | 骨盤ベルトを装着し途中で小休憩 |
重量物を扱う仕事 | 3〜5日 | 必ずコルセットを着用し、同僚と協力して持ち上げ |
痛みが和らいでも「鈍い張り」が残る場合は早めに再診してください。当院理学療法士による運動指導で早期復帰を支援します。
温泉やサウナはいつからOK?
ぎっくり腰の急性期は腰部に炎症が起きているため発症から48〜72時間は温熱刺激を避けるのが基本です。炎症がおさまり、動作時の痛みが半分以下になったころが目安です。
利用再開のステップ
- 自宅の入浴で10分以内の短時間温浴を試す
- 痛みが増悪しないことを確認
- 軽いストレッチを行い問題がなければ温泉・サウナへ
サウナでは長時間の高温浴や水風呂への急激な移行は腰部筋肉のけいれんを誘発する恐れがあるため避けましょう。整いスペースでも腰を深く曲げず、背筋を伸ばした状態で座るのがコツです。
まとめ
ぎっくり腰で「歩けるけど痛い」場合は、まず整形外科で原因を特定し、市販NSAIDsや処方薬で疼痛を抑えつつ安静を確保することが基本です。強い痛みが続く場合はブロック注射が有効ですが、医師の診断と副作用管理が前提となります。日常動作の工夫と体幹トレーニングで再発率を下げ、足のしびれや排尿障害など危険サインがあれば速やかに救急受診しましょう。痛みが取れない、違和感があるなどお困りごとがありましたら当院へご相談ください。
